〔兜町ウオッチャー〕IT・コンサル株売りいつまで、市場は「AI耐性」見極めへ
[東京 26日 ロイター] - 米アンソロピックが発表した高度なAI(人工知能)エージェント機能が既存のビジネスモデルに代替するとの懸念からソフトウエアやコンサルティングなどの株式が売られる「アンソロピック・ショック」は、過度な警戒感がひとまず後退し、小休止の様相となっている。AIの進化が続く中にあって、中長期での懸念はくすぶり続けそうだが、あらゆる関連株が売られる局面から「耐性」に基づく選別の局面に進むとみられている。
<最悪のシナリオは回避か>
そもそもソフトウエア株の軟調な地合いは「(AIの台頭で)将来こうなるかもしれないという『想定』で売られた」と三菱UFJアセットマネジメントのエグゼクティブ・ファンド・マネージャー、石金淳氏は指摘する。とりわけ、米新興企業アンソロピックのAIが新機能を発表するたびに値崩れしたことから「アンソロピック・ショック」と市場では呼ばれている。
同社のAIに財務や営業、法務に対応する機能が用意されたことで、コンサル株やセキュリティー株にも売りが拡散。情報収集や資料作成などはAIが得意とされる分野でもあり、コンサルはAIによって代替されるイメージが沸きやすいとの指摘もある。
SBI証券のシニアアナリスト・畑田真氏は、AIによって業務効率が改善している面はあるものの、その引き換えに取引先からコンサルタントの担当人数を減らされる場合、コンサル企業側がクライアントから受け取る報酬が減る可能性があり、業績に影響するリスクがあるとみる。
こうした地合いは「SaaSの死」とまで呼ばれ、底なしとみられたが、ひとまず歯止めをかけたのもアンソロピックだ。同社が24日、自社のAIに他社主要ソフトウエアを連携させる追加サービスを発表したことで、AIが総取りするとの過度な懸念が緩和した。
<「AI耐性」を見極めへ>
ひとまずアンソロピックショックは小休止となっているが、AIの進化は途上でもあるだけに、あらゆるサービスが代替されるリスクへの警戒感は中長期的につきまといそうだ。
とはいえ「関連株が一緒くたに売られる悲観的な動きは解消されたようだ」と、フィリップ証券の笹木氏は指摘する。
山和証券の調査部部長・志田憲太郎氏は「例えば、企業の基幹システムをAIが代替する可能性は低く、企業が内製化するのも難しいのではないか」と話す。個別では、NECや日立製作所、富士通などは売られ過ぎの反動で買い戻しが入ってもおかしくないという。
マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は、足元のマーケットの反応は過剰であり、特定の条件を満たす企業には絶好の買い場が生じていると話す。
業績による裏付けも一段と重視されそうだ。「投資家を現実に引き戻すのは業績だ」と、SMBC日興証券のアナリスト・菊池悟氏は語る。四半期ごとにしっかりした業績が示されれば売りは落ち着いてくるとの指摘もあり、「来年度の見通しが示されるであろう4―5月の本決算では、企業側から生成AIを活用した事業戦略がどのように示されるかがカギとなる」(菊地氏)という。
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