ホーランド流の起用法とシステム選択。 実戦機会を有効活用し、2-0の勝利とともに前へ進む [ACLE 上海海港戦レビュー]

4バックでスタート

守備時にセットした形をいわゆるシステムとして表記とするならば、上海海港戦でスティーブ・ホーランド監督が採用したのは4バックだった。

加入間もないサンディ・ウォルシュがジェイソン・キニョーネスとセンターバックを起用し、左サイドバックには初先発となる鈴木冬一、そして右サイドバックには宮市亮がコンバートされた。

ダブルボランチはジャン・クルードと山根陸がコンビを組み、2列目は右からヤン・マテウス、天野純、植中朝日。最前線にはアンデルソン・ロペスが起用された。守備時は天野を最前線に押し出して相手にプレッシャーをかける形だ。

一方で、攻撃時は左右非対称の形に。左のサイドバックの鈴木が高いポジションを取り、同時に左サイドハーフの植中が中央に寄って左シャドーのような位置取りに。右はヤンが張り出し、宮市は3バックの一角を形成。ホーランド監督が就任から一貫して目指す3-2-5に近い配置だった。

目指すべき方向性を保ちつつ、これからも続く連戦に備えた形だ。松原健や永戸勝也、渡邊泰基を温存し、後半途中の62分にはコアメンバーであるアンデルソン・ロペス、ヤン・マテウス、ジャン・クルードの助っ人3選手をベンチへ下げる。リーグステージ突破が決まっているからこそできるメリットを指揮官なりに使った。

形式としては消化試合なのは戦前から決まっており、もっと大胆にメンバーを入れ替える一手も考えられた。しかし、そこはホーランド流と言うべきか。チーム作りにおけるシーズン序盤の重要性を鑑みた時に、勝敗と同じくらい大切な90分があるのかもしれない。

ここで採用した4バックや選手起用のやり繰りが、今後に生きていく。限られた実戦機会を有効活用し、なおかつアウェイで2-0の勝利を収め、マリノスは次へ進んでいく。

植中朝日や天野純以外で際立った選手は……

ゴールを決めた植中朝日や天野純のパフォーマンスを素晴らしかったのは言うまでもない。

(残り 851文字/全文: 1826文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

会員の方は、ログインしてください。

関連記事: