【分析】中間選挙を目前にひたすら奇妙な言動を重ねていくトランプ氏(CNN.co.jp)

(CNN) トランプ米大統領の振る舞いにはそもそも奇妙なものが多い。だが、ここ12日間の言動はかなり際立っている。特に中間選挙が迫る時期であることを考えればなおさらだ。 【映像】トランプ氏、女性記者に「ブタ、静かに」 トランプ氏は、有権者に対し、一部の共和党員でさえ賄賂に等しいと指摘するものを提示した。共和党の上院議員を選出しなければ、州への災害支援を差し止めると(冗談交じりに?)脅した。米同時多発テロから25年を迎えるにあたり、テロの現場「グラウンド・ゼロ」のすぐ近くにいたという疑わしい話をした。民主党が自身を殺害しようと共謀したと根拠なく示唆した。対外貿易をすべて停止すると脅した。ワシントンの芸術施設「ケネディ・センター」に自身の名前を付けることを判事が認めなければ、同施設の未来を人質に取る構えを示したほか、アーリントン国立墓地を見渡す位置に建設を提案している高さ約76メートルの凱旋(がいせん)門を、ドローン(無人機)や狙撃兵を配備する軍事複合施設としても使いたいと述べている。さらにはCNNを含む一部メディアのホワイトハウスへの立ち入りを拒否している。 トランプ氏の政治的勢いが衰えている理由として特に過小評価されているものの一つに、その指導力に対する米国民の信頼低下が挙げられる。 ここ数カ月の世論調査では、次のような結果が出ている。 ・国民の67%が、トランプ氏は重要な決定について慎重に検討していないと回答した。 ・71%が、トランプ氏は「感情が安定していない」と回答した。 ・FOXニュースとCNNの両方の世論調査によると、成人と登録有権者の10人に7人以上が、トランプ氏はイラン戦争について計画さえ持っていないと答えた。 そして今年の中間選挙が間近に迫る中でも、トランプ氏はこうした見方を払拭(ふっしょく)するようなことをほとんどしていない。 共和党が下院と上院の多数派を維持すれば、国民の成人全員に5000ドル(約78万円)を支給するというトランプ氏の提案は、確かに見返りを条件とした取引だ。登録有権者の66%がこの考えを「不適切だ」と答えている(適切だとの回答は18%)。 ノースカロライナ州が民主党の上院議員を選出すれば災害支援を差し止めると16日に冗談めかして脅したことも、眉をひそめさせる。トランプ氏は冗談だったと述べたが、これまでの実績を見れば、トランプ政権がこうした問題で民主党が優勢の州を差別的に扱ってきたことは明らかだ。そして、そもそも冗談だとしてもまったく笑えない内容だ。 米同時多発テロの節目を前にトランプ氏が語った、建物が崩壊する恐れがある中で消防隊員らに運び出されたという話については確認が取れておらず、良く言っても誤解を招くものだった。そして、その話が誇張されているのであれば、大統領がまるで戦場での功績を偽って語っているかのように聞こえる。 先週には、ペンシルベニア州バトラーで2024年に起きた自身に対する暗殺未遂について、「私を選挙から排除するための民主党の陰謀」だったとも主張した。もし事実であれば重大な主張だが、民主党関係者が関与していた証拠は今もなく、トランプ氏もそれ以上詳しく説明していない。実際、暗殺を企てたトーマス・クルックス容疑者は共和党を支持する登録有権者だった。 トランプ氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げしなければ、米国が貿易赤字を抱えるすべての国を含む対外貿易の大部分を停止すると再三脅した。16日にはノースカロライナ州で「赤字になっているすべての国との貿易を停止すればいい。そうした国は大半を占めるし、それは非常に簡単にできる。そうすれば年間少なくとも1兆5000億ドルを稼げる」と主張した。この理屈は意味をなさない。 18日になると突如、CNN、MS NOW、ポリティコについて「即時に」ホワイトハウスへの立ち入りを「禁止する」と発表。政権スタッフの一部さえ不意を突かれた。CNNの記者は19日午前、ホワイトハウスの敷地への立ち入りを拒否され、記者証を没収された。ポリティコの記者1人と、MS NOWの記者1人、カメラマン1人も立ち入りを拒否された。 ほかの言動の中には、もう少し小粒なものもあるが、それでもなお興味深い。 トランプ氏は12日、分断されているアイルランド再統一の可能性を称賛し、歴代政権が長年維持してきた外交政策の慣例を破った。国民のかなりの割合が不安視しているにもかかわらず、AI(人工知能)の安全性をめぐる懸念は「でっち上げ」と一蹴した。 そして最後に、トランプ氏は先週の大半を、ケネディ・センターに自身の名前を付けることを裁判所に認めさせることに費やした。違法とみられるにもかかわらず。今では、自分の望むものが得られなければ、同施設の資金を枯渇させ、消滅させる可能性があると明言している。 ずいぶん前のように感じられるが、トランプ氏の1期目のときは、その「気性」やツイートが話題になることも多かった。同氏の言動が国民の感覚を一定程度まひさせてきたことは間違いない。 しかし党の権力基盤がかかった中間選挙を控え、指導者としての安定性に有権者が実際に疑念を抱いている状況となれば、トランプ氏としてはこうした行動を抑えたいところであるように思える。 ところがトランプ氏は真逆へと突き進み、こうした奇妙な言動をエスカレートさせている。 ◇ 本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。

CNN.co.jp
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