韓国の政治危機深まる、金融市場の大幅変動続くとトレーダー警戒
- 非常戒厳宣布の3日以降ウォンは下落基調、株価指数も2.9%下げる
- 与党の採決ボイコットは不安定な状態を長期化させるだけとの指摘
韓国金融市場は週明け9日の取引再開後もボラティリティーの高い状態が続く可能性があり、トレーダーらが警戒している。尹錫悦大統領は週末に弾劾訴追案を切り抜けたが、政治危機は深まった。
国会で過半数を占める野党は、速やかに弾劾訴追案の再提出を目指す意向を示している。
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通貨ウォンは尹大統領が「非常戒厳」を宣布した3日以降、下落基調にある。
ミレーアセット証券の市場ストラテジスト、ソ・サンヨン氏は「7日に弾劾訴追案が可決されていれば、それで終わっていたであろうが、尹大統領は依然として軍を掌握している」と指摘。「与党の採決ボイコットは韓国国内の不安定な状態を長期化させるだけだ」とし、これはボラティリティー上昇を意味すると述べた。
同氏はまた、観光客の訪韓が内需にとって必要だが、今回の事態を受けて状況が悪化する可能性があると分析した。
ブルームバーグ・インテリジェンスは、非常戒厳宣布など韓国社会の不安定さを懸念し、韓国を訪れる中国人観光客は2025年1-3月(第1四半期)に前年同期比19%減少するとの予測を示した。
韓国総合株価指数は非常戒厳が宣布された3日以降、2.9%下げている。トレーダーらが情勢を見極める中、6日は値動きの大きい展開となった。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルのユン・ジュンイン最高経営責任者(CEO)は「市場は次の四半期の企業業績を注視し、ウォン安の影響を測るだろう」と指摘。韓国の政情を巡る問題は来年いっぱい続くとの見方を示した。
原題:Traders Brace for More Volatility on Korea’s Political Stalemate(抜粋)