ドイツ次期首相有力候補が失点、極右と協力の反移民法案を議会が否決

Iain Rogers

  • CDU議員、メルツ党首の方針に背き12人が棄権-否決は11票差
  • メルツ氏には打撃、極右AfDは不法移民懸念を有権者にアピールへ

ドイツの最大野党、キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、極右と手を組んで厳格な移民対策法を成立させようとしたが、失敗した。次期首相を狙うメルツ氏にとっては、手痛い政治的失点になる。

  今週に入り拘束力のない関連決議の成立に成功したため、メルツ氏は与党の社会民主党(SPD)や緑の党が反対する中でも、法案には十分な支持があると踏んでいた。だが、採決の結果は反対349票に対し賛成は338票にとどまり、法案は予想外の否決となった。CDUと姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)を合わせた196人の議員のうち、12人が党首の方針に背いて賛成票を投じなかった。

  この否決はメルツ氏の権威を傷つけ、2月23日に予定する総選挙の争点となっている不法移民について、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が有権者へのアピールを強める材料になる。メルツ氏はSPDと緑の党に否決の責任を転嫁しようとしており、ドイツ主流派政党内の深い亀裂を浮き彫りにした。

  「移民政策の転換を目指したが、緑の党とSPDのせいで失敗した」とメルツ氏は主張。「違った結果を期待していた。だが、われわれが見たところ、この結果で判明したことがある。われわれの立場と、SPDおよび緑の党の立場だ」と続けた。

  議場は緊迫した空気に包まれ、妥協を見いだそうと土壇場の取り組みが行われたため採決は4時間遅れた。採決に続く議会の議論は険悪な雰囲気で、各党は非難合戦を展開し、中断されることもしばしばだった。

Social Democrats and Greens are well behind the leaders

Source: Forschungsgruppe Wahlen via Wahlrecht.de

  メルツ氏は同法案をAfDの協力で通そうとした。極右の支持で拘束力のある法律が成立していれば、ドイツでは戦後初めてだった。

  ショルツ首相は「何たる不名誉だ。策略は全て無駄に終わり、民主主義を傷付けただけだった」とソーシャルメディアへの投稿で断じた。

  首相は議会に出席していたものの、発言はしなかった。SPD所属議員は203人が反対票を投じ、4人が棄権した。

原題:German Frontrunner Suffers Blow With Shock Migration Defeat (2)(抜粋)

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