500兆円を米財政赤字に追加、トランプ税・歳出法で議会予算局が試算

Jarrell Dillard

  • 1000万人が医療保険を失う見通し、新たな就労要件で

今月成立したトランプ米大統領の巨額税制・歳出法は、今後10年で財政赤字を3兆4000億ドル(約500兆円)拡大させ、数百万人が医療保険の受給資格を失うと、超党派の米議会予算局(CBO)が最新の推計で明らかにした。

  最新のCBO報告は現行法適用によるベースラインに比べ、2034年末までに歳入が4兆5000億ドル減り、歳出が1兆1000億ドル減少すると推計している。これには法施行に伴って生じ得る経済成長や金利による影響である動学的効果は加味されていない。

  トランプ大統領が反対派の共和党議員の説得に直接当たるなどして、今月4日に成立にこぎ着けた税制・歳出法は、2017年に施行された減税措置の恒久化など、同氏の経済アジェンダの多くを法制化したもの。

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  同法のコストを相殺し、赤字を削減するために複数の歳出削減策が盛り込まれたが、その中にはメディケイド(低所得者向け医療保険)のカットもある。65歳未満の受給者には2026年末から、新たに就労要件が課される。関連規制の影響も合わせて、CBOは2034年までに1000万人の国民が医療保険の受給資格を失うと分析している。

  大規模な医療保険喪失のリスクと同時に、関税の影響で低所得者世帯の生活はさらに苦しくなると懸念されている。6月の消費者物価指数(CPI)統計では、一部に関税が影響している兆候が示された。エコノミストらはこの夏かけて物価上昇が続くとみている。生活必需品への支出割合が高い低所得世帯に、打撃が集中するとみられる。

原題:Trump Tax Law to Add $3.4 Trillion to US Deficits: CBO (Correct)(抜粋)

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