トランプ大統領がまた議会軽視、対外援助の取り消しを年度末に提案

トランプ米大統領は承認済みの対外援助約50億ドル(約7400億円)について、議会に取り消しを提案した。会計年度末が迫る中での提案は、議会が9月末までに対応できない場合、大統領の一存で資金の凍結・削減を可能にする狙いがある。

  この手法は議会が持つ歳出決定権に挑戦するものであり、9月30日を控えてすでに緊張状態にある予算対立をさらに激化させる。民主党は政府閉鎖を回避するための票と引き換えに、議会が承認した予算を大統領が実行するという保証を求める構えだ。

  匿名を条件に話した政権関係者によれば、削減案の対象には米国際開発局(USAID)への支援金32億ドルなどが含まれる。

  トランプ大統領がこの計画を議員らに通知したことで、議会が対応するまでの間、資金凍結を大統領に可能にする法律が発動した。この動きについては、ニューヨーク・ポスト紙が最初に報じた。

ケニヤの医療倉庫で保管されているUSAIDの支援物資。資金削減前で最後の寄付となった(4月24日)

  行政管理予算局(OMB)のボート局長は、この手法を「ポケットリシジョン」と呼んでいる。議会が期限内に対応できないのを見越して、会計年度終了間際に提案し、何もせず(ポケットに入れたまま)期限が過ぎればリシジョン(予算の取り消し)が発効する。これまでに用いられたことはほとんどなく、実現すれば連邦予算を巡る力の構図が変わりかねない。

  この戦術はすでに共和党内に分裂を引き起こしている。特に上院ではラウンズ議員(サウスダコタ州)とコリンズ議員(メーン州)が懸念を表明。財布のひもは議会が握るという伝統的な認識を揺るがしかねないと警鐘を鳴らしている。

  「議会の承認なしに予算を取り消すいかなる試みも、明らかな違法行為だ」と、上院歳出委員会の委員長を務めるコリンズ議員は29日に声明を出した。

  民主党のシューマー上院院内総務も「共和党がこれを単独で進めるのなら、その破壊行為に民主党は加担しない」と表明した。

  1974年成立のインパウンドメント統制法は、議会が承認した予算の実行を大統領に義務付けている。トランプ政権はこの法律のあいまいな部分を突く形で、暦を味方につける考えだ。同法に基づくと大統領は議会に予算取り消しを提案後、議会が対応するまでの45日、支出を一時的に凍結できる。かつて一般的だった支出取り消し(リシジョン)は、トランプ氏によってこの7月に復活。公共放送と対外支援、世界保健プログラムへの支出90億ドルが取り消された。

  ポケットリシジョンの場合、会計年度終了間際に提出することで、議会に対応する時間が与えられず、期限切れとなり、実質的に恒久的な取り消しになるとボート氏は主張する。大統領が議会の休暇中に法案に署名せず、そのまま自然失効させる「ポケットビートー(静かな拒否権)」になぞらえた表現だ。

  このアプローチは法の一線を越える恐れがあると、専門家は批判する。米政府説明責任局(GAO)はこれまでに、年度末のタイミングを狙った行動は法律の精神に反すると批判してきた。憲法の専門家らはポケットリシジョンがラインアイテム・ビートー(項目別拒否権)に類似していると指摘する。項目別拒否権は1998年、最高裁が違憲の判断を下した。

原題:Trump Tests Rare Tactic Eying $5 Billion Foreign-Aid Cut (2)(抜粋)

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