来週は円上昇へ、関税懸念で市場心理悪化-FOMCハト派化は期待薄
船曳三郎
来週の円相場は引き続き上昇圧力がかかりそうだ。トランプ米政権の関税政策に対する懸念からリスク回避の円買いが根強い。米連邦公開市場委員会(FOMC)ではインフレ警戒で利下げに慎重な姿勢が維持され、ハト派化が期待しづらいことも市場心理の悪化につながる。
市場関係者の見方
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト
- 年内3回近い利下げを織り込む米国市場には、FOMCのドットチャートやパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見がタカ派的に見えるだろう
- 日本銀行の金融政策決定会合は次回5月の利上げを決め打ちするようなコミュニケーションは考えづらいが、ハト派的なトーンも期待できない
- 財政支出拡大に向けたドイツの憲法改正が可決されれば雰囲気が改善する可能性もあるが、市場全体のセンチメント回復には力不足で、円はしっかりしやすい
- 円は1ドル=145-150円がコアレンジで底堅い
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- 米関税の悪影響が明確になっている上、ウクライナ停戦期待も薄れてトランプ政権に不信感が高まっており、リスクオフの円高が続く
- 日銀が早期利上げを示唆するか注目だが、基本的に日米の金融政策に対する見通しで混乱が起こることはないだろう
- 150円が遠くなった印象で、145円に向けて円が買われる可能性が高い。何が起こるか分からない状況で、145円を超えても驚かない
- 円は145-148円がコアレンジ
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト
- 引き続きリスクは円高方向だが、投機筋の円買いポジションがそろそろ限界にきており、円の上値トライは一段落か
- 日銀会合は次に向けて何かヒントがあるか、FOMCはドットチャートと市場の利下げ織り込み回数との差に注目
- 日本の政局は円安リスク。石破茂首相は予算成立と引き換えに退陣との臆測もあり、日銀の利上げ見通しに狂いが生じ得る
- 円のレンジは146-150円
週間予想
(ブルームバーグ為替レート予想モデル)
1ドル=145円76銭-150円63銭 1週間物予想変動率 11.8200% 1週間物リスクリバーサル 1.1650%の円コールオーバー来週の主な予定
- 17日:2月の米小売売上高
- 19日:日銀が金融政策決定会合の結果を発表し、植田総裁が会見
- 19日:FOMCが声明と経済予測を発表し、パウエルFRB議長が会見
- 20日:イングランド銀行(英中銀)が政策金利を発表、EU首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
- 21日:2月の全国消費者物価指数(CPI)
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