【北朝鮮】『革命の継承者』としての地位を宣伝?“ジュエ氏”が金正恩総書記の祖父らが眠る“聖地”を初参拝 浮き彫りになる娘の存在感と父の思惑

 大みそかから元日にかけ、盛大な年越し祝賀行事を行った北朝鮮。その中で、金正恩総書記の娘とみられる“ジュエ氏”が見せた大胆な行動には、一体どんな思惑が?党大会で役職に就く可能性は?『朝日新聞』外交専門記者・牧野愛博氏の解説です。

 新年祝賀行事では歌謡ショー・花火・アイススケートなどが披露され、年越し直後には“ジュエ氏”から金正恩総書記の頬にキスする様子も見られました。金総書記は演説で、「去年は祖国をより高い力と尊厳の境地に引き上げ、完璧に締めくくった。今年は、より偉大な勝利が我々を呼んでいる」と語りましたが、対外メッセージはありませんでした。

Q.“ジュエ氏”が父・金総書記の頬にキスしたんですね?(『朝日新聞』外交専門記者・牧野愛博氏)「これは、“最高指導者に近い存在だ”と言いたいのでしょう。北朝鮮には9~15歳ぐらいまでの子どもが入る『朝鮮少年団』という団体があるのですが、子どもとはいえ社会に接するようになるので、プライバシーはきちんと守って、公共の場所での過度なスキンシップなどは控えたほうがいいと教えます。ですから、最高指導者にこれだけスキンシップができる=それだけ近い存在だと言いたいのだと思います」Q.対外メッセージがなかったことについては?(牧野氏)

「“お楽しみは後に取っておきましょう”ということで、もうすぐ党大会がありますし、今はアメリカも中国も激しく動いていますから、党大会までに状況を見極めて、そこで発表するということだと思います」

 新年祝賀行事の際、“ジュエ氏”は中央の席で公演を観覧していました。これに対し、韓国メディアは「“ジュエ氏”の存在感を浮き彫りにさせるための意図的な選択ではないか」と報じています。

 また、1月1日、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置されている『錦繍山(クムスサン)太陽宮殿』を初参拝した際には、“ジュエ氏”がセンターに立っていました。ここは、新年や記念日ごとに参拝し、先代の遺志を継ぐことを示す“最高聖地”とされている場所です。『聯合ニュース』は、慶南大学・極東問題研究所教授が「先代指導者の遺訓を直接継承する『革命の継承者』としての地位を、国内外に公式に宣言する意味がある」と分析していると報じました。 さらに『中央日報』は、慶南大学・極東問題研究所教授が「2月ごろに開催の党大会で、公式に役職を受ける可能性も排除できない」と指摘していると報じました。また、韓国・シンクタンクの世宗研究所・副所長は、「“ジュエ氏”が近いうちに北朝鮮内外で正式に後継者として承認されるだろう」と分析しています。

 一方、『聯合ニュース』は「韓国政府は『後継者と示す狙いがあるのであれば、“ジュエ氏”を正恩氏の後方に立たせるはず』との見方を示している」と報じました。

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