くっきー!、『べらぼう』で津田健次郎と“マジ喧嘩”? 「徐々に北斎感が出てくる(笑)」
お笑い芸人のくっきー!(野性爆弾)が、10月19日に放送されるNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第40回に登場した。今回は、撮影真っ只中のくっきー!に話を聞き、自身が演じる役や、撮影現場の雰囲気について、たっぷりと語ってもらった。
主演を横浜流星が、脚本を森下佳子が務める本作。「江戸のメディア王」として時代の寵児となった蔦屋重三郎(=蔦重)の半生を描く。
くっきー!は本作で大河ドラマ初出演。オファーが来たときは、マネージャーと共に大喜びしたという。「よく『いつ大河決まんねん』とノリで言うてたんで、ほんまに決まってビックリしましたね。自分のなかで『やっておきたいこと』が100個あるとしたら、その1個を達成できた感じです」と振り返る。
両親にも報告したと言うが、「息子と大河ドラマ」という組み合わせが結びつかなかったのか「『タイガ? なんか深夜の番組に出るんか?』と返されましたね」とくっきー!。「だから、いまだに『べらぼう』に出るとは思ってないでしょうね。『その深夜番組いつ流れんの?』と思っていると思います」と笑顔を見せた。
くっきー!が演じるのは、勝川春朗(のちの葛飾北斎)。師匠で役者絵師の勝川春章(前野朋哉)に連れられ、蔦重の耕書堂を訪れる人物だ。くっきー!に、北斎のイメージを問うと「カッコええおじさん」との回答が。「波の描写とか漫画のルーツになってるとか、いろいろなものをゼロイチで生み出しているじゃないですか。それで言うと、同じくゼロイチを生み出した、エジソンやライト兄弟と余裕で肩を並べている人やと思います」と、笑いを創造している彼ならではの視点から称賛した。
くっきー!自身も海外に進出した経験があるほど絵が得意。だが、春朗の「絵に対する思い」には叶わないという。
「僕はいろいろな仕事の中に絵がありますけど、春朗は絵しかない。その熱のレベルは全然違います。子どものときは、ただただ描きたくて絵を描いていたし、僕の絵を見て人が笑ってくれるのがうれしかった。当時のほうが、春朗の感覚に近いのかもしれないです」
大河ドラマはもちろん、テレビでの時代劇も初参加ということで、所作の稽古を経て、収録初日に臨んだくっきー!。さぞ、緊張のなか現場に向かったのだろう、と予想していたが、本人は意外にも「ワクワク」の感情が強かったと振り返る。
「性格なのか分からないですが、“早くカメラを回してほしい”、“早くやりたい”と思っていました。(はやる気持ちもあったため)予定より前にカツラをつけに行こうとして、『くっきー!さん、まだ大丈夫です!』とよく止められていましたね(笑)」
さて、気になるくっきー!の春朗だが、本編では、“らしさ”を残しつつ、キャラクターと作品にインパクトを与える演技を見せている。本人曰く、自身で役を膨らませて演じたが、特に咎められることもなく、思うままに表現できたという。
「演出の方のおかげですよね。ギチギチに言われるわけでもなく、自由にやらせていただきました。もちろんアカンときは言うてくれるし、『幅広』で臨機応変な演出さんでした」
本編では、手代・滝沢瑣吉(津田健次郎)と喧嘩になるシーンも。「ほんまに(春朗を)憑依させていたんで、ガチでぶん殴ってやろうと思っていました(笑)。相手(瑣吉)も相当な勢いだったのもあって、マジの喧嘩でしたね」と演技上でのやりとりをユニークに語る。
そうして収録を進めるなか、同じく大河ドラマ初出演の津田の“人柄”に感銘を受けたようで「(喧嘩の)リハーサルでは、互いに『次、僕どうすればいいんでしたっけ?』、『くっきー!さんはこちらですね』と、和気あいあいとやらせていただきました。今回初共演なんですが、津田さんはめちゃめちゃええ人。現場のこともいろいろ教えてもらいましたし、『一服もできますよ』と声をかけてくれました。(瑣吉役が)津田さんでほんまに良かったと思いましたね。とにかく優しい……!」と回顧した。
現場も非常に和やかだったそうで、すでにできあがった空気感でありながら、共演者とは初日で“友人”のような関係になれたという。それは、舞台で共演経験のある座長・横浜の存在も大きかった。そんな横浜の印象をくっきー!はこう述べた。