アップル「iPhone 16 Pro」実機カメラレビュー:作例で見る「買い替え」の必要性
良い意味でいままで以上に無味無臭の「iPhone 16 Pro」のカメラ。さまざまな進化の布石はあるようだが、インパクトは弱い。
撮影:林佑樹
9月に満を持して登場したiPhone 16シリーズ。生成AI対応がキーワードになっている本製品だが、日本語で体験できるのは2025年になる。
現在はアップルのエコシステムが、Apple Intelligence導入に伴うある種の「転換期」にあり、iPhone 16シリーズは(特に日本ユーザーにとっては)いささか不憫な存在にも見えるが、本稿ではカメラに関するルック&フィールをお送りする。
(編集部追記)本検証は10月上旬に実施。情報が古い要素や処理に関してアップデートするべき要素はあるが、判断材料としては機能するので特に修正は加えていない。
主な変化は「超広角カメラ」の高画質化
そもそもカメラの進化は少ない。
超広角カメラが48メガピクセルになったことと、望遠カメラのF値が向上しているくらいだ。
近い距離での撮影時に、広角から超広角の切り抜きに移っても、画質への影響が減ったのはよい部分だろう。また、撮影後の処理が改善された結果、望遠カメラを除いて暗所での撮影結果もよくなっている。
しかし、iPhone 14の世代から見ても「2025年に機種変更でもいいのでは」と思うほど、変更点が少ないのが実情だ。
左はマクロオフの状態、右はマクロオン。広角カメラでテーブルフォトを撮るとき、最短撮影距離の関係で左のようにオムレツがボケがち。右のようにマクロをオンにすると超広角カメラのクロップになり、画質の低下もなく解決できる。iPhone 15 Pro Maxでは露骨な画質低下が問題だったが、iPhone 16 Proシリーズでは解決された。
撮影:林佑樹
背中をそらせて、2倍にして撮影する手間がなくなっているのでiPhone 15 Pro Maxのときよりもご飯写真の撮影回数が増えている。
撮影:林佑樹
望遠カメラも抜けがよくなり、日中であれば使い勝手がよくなっている。夜間については後述するがあまり出番はない。
撮影:林佑樹
広角カメラはシーンを選ばず、性能の良さを体験できる。
撮影:林佑樹
フォトグラフスタイルでの調整はしやすい絵作り
今まで以上に特筆すべき点がないのには、理由がある。
アップデートされた「フォトグラフスタイル」は撮影時もしくは撮影後に自分の好みの色合いやトーンに変更できるというものだ。
カメラアプリ内のフォトグラフスタイルを設定しながら撮影もできるが、純粋に面倒でほとんど使用していない。
画像:筆者によるスクリーンショット
試してみるとわかるが、屋外ではおおよそ見たままの色で記録される。これはiPhone 15以前とは異なる傾向で「あとからフォトグラフスタイルでいじりやすい」結果になりやすい印象だ。
iPhoneのカメラを単なる「記録装置」としてみると、誇張がない色づくりは武器になるため、人によっては「とてもいい」と判断できる。筆者もかなり気に入っている。
なお、例外としては青空と少し影が落ちた緑を撮影するときだ。構図内で青空の割合が多い場合はやたら青くなり、木陰では緑が明るくなりやすい。
写真アプリにある「スタイル」でも後からフォトグラフスタイルを適用できる。クールローズ(トーン-86、カラー87、パレット100)で金属の色合いを好みに近づけたもの。
撮影:林佑樹
ローズゴールド(トーン-100、カラー-100、パレット100)。
撮影:林佑樹
ちなみに、写真アプリの編集機能の1つで、「フォトグラフスタイル」風のアクションが実行できる「スタイル」は、いまのところiPhone 16世代のみの展開になる。
カメラコントロールはやや使い勝手がよくない
ハードウェアの変更点として実装された「カメラコントロール」だが、既報にもあるようにケースの影響を受け、横にして使おうとするとやや奥まった位置にあり、安定性に欠ける。
カメラを起動させるキーとしては便利だが、長年続くソフトウェアシャッターボタン及び関連する操作を塗り替えるには至っていない印象だ。
夜景撮影は通常時同様に良好
夜景撮影は通常撮影時と同じく誇張表現がなく、逆に扱いやすい。
きらびやかな夜景を武器とするグーグルの「Pixel」やサムスンの「Galaxy」と比べると地味ではあるが、おおよそ見たまま記録される。シャドウ部のトーンも良好だ。
また、街灯がある環境下ではナイトモードになることはあまりなく、テンポよく撮影できる。
超広角カメラ。
撮影:林佑樹
広角カメラ。
撮影:林佑樹
広角と同じポイントから望遠カメラにしたもの。ピクセルビニングがないことを踏まえると画質は健闘していると言えるが、超広角カメラと広角カメラとの差が顕著だ。
撮影:林佑樹
マクロ撮影時でナイトモードが役立つことも。さすがに高周波帯は苦手なようだ。
撮影:林佑樹