NY外為市場=ドル下落、低調な国債入札と米減税法案巡る懸念が重し
[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場で、ドルが広範な通貨に対し下落した。トランプ政権の減税・歳出法案を巡る懸念のほか、米財務省が実施した20年債入札の結果が低調だったことが重しになった。
財務省が実施した160億ドルの20年債入札は最高落札利回りが5.047%と、入札前取引を上回った。投資家が国債を引き受けるにあたりプレミアム(上乗せ金利)を要求したことが示唆され、米国の資産から投資家が距離を置き始めている可能性が示された。応札倍率は2.46倍だった。
入札結果を受け、20年債利回りは5.127%と、2023年11月以来の水準に上昇。こうした動きに伴い、外国為替市場でドルが円とユーロに対し下げ幅を拡大した。
アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)のグローバル債券分析マネジングディレクター、キム・ルパート氏は、20年債入札が軟調だったことについて「財政懸念の中で米国の資産への需要が弱まり『米国売り』が進んでいるという状況に合致している」とし、「議会下院で討議されている税制法案によって、懸念が一段と膨らんでいる」と述べた。
超党派のアナリストによると、トランプ大統領が掲げる減税で米国の債務は最大5兆ドル増加する可能性がある。
終盤の取引でユーロ/ドルは0.4%高の1.1334ドル。一時は2週間ぶりの高値を付けた。
ドル/円は0.6%安の 143.62円。日本の30年債利回りが21日の取引で過去最高を更新したことも円の上昇につながった。フォレックスドットコムのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「日本国債の利回り上昇で米国債利回りとの格差が縮小し、ドルを保有する投資妙味が減退する」としている。
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