【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─物色意欲の強さを支えに、掉尾の一振に進む可能性も
12月の東京株式市場は堅調な展開となりそうだ。11月初旬までの 半導体・AI(人工知能)関連株がけん引した流れが一服し、日柄調整の局面が継続することが見込まれる。日米の金融政策を見極めたいとする向きも多い。ただ、 TOPIX(東証株価指数)は11月半ばに一時最高値を更新するなど、全体としての物色意欲は強い。年末に向けて上昇する「掉尾の一振」になる可能性もある。
日経平均株価の予想レンジは4万7000円~5万2000円。
日米ともに7-9月期決算は良好だった。特に日本では期初に警戒されていた米政権による関税の影響が想定よりも軽微となり、26年3月期通期の純利益予想は第1四半期終了時の6%減益が、ほぼ横ばい程度になるとみられる。全体の3割程度が上方修正に進んだとの報道もある。大手調査機関では27年3月期は2ケタ増益とする見方が多く、業績面からの買い安心感が株価の下支え要因となる。注目スケジュールは、米国で10日にFOMC(米連邦公開市場委員会)結果、11日に卸売物価指数(11月)、16日に雇用統計(11月)、17日に小売売上高(11月)、18日に消費者物価指数(CPI、11月)発表など。日本では、15日に日銀短観(12月調査)、19日に日銀金融政策決定会合の結果発表、30日に大納会など。最大の関心を集めるのが米FOMCだ。0.25%の利下げがメインシナリオだが、現状維持の可能性も指摘されている。11月の雇用統計(10月分を含む)の発表が、政府機関閉鎖の影響で通常の5日から16日に延期された。FOMCはデータを確認する前に判断することになる。利下げ見送りとなった場合の株式市場の反応は要注目だ。日銀会合では金融政策に変更なしとの見方が多いが、その場合でも植田日銀総裁の記者会見でのコメントが意識される。為替が円安傾向にある中、26年1月利下げへの示唆があるかがポイントとなる。
●バリュー優位も、狙い目となる半導体・AI関連の押し目 物色では、バリュー株優位の展開が想定される。NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)は10月末にかけて15.7倍台と過去最高水準を記録したが、直近では15倍を割る水準までに落ち着いている。一方で、騰落レシオ(25日)は安定して100を超えており、全体としては値上がり銘柄数が多い状況が継続している。11月初旬までの半導体・AI関連への人気一辺倒から、すそ野が広がってきていることを示している。政府が21.3兆円の総合経済対策を閣議決定し、国内経済が拡大するとの見方が強くなっている。内需関連では三井不動産 <8801> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]、大成建設 <1801> [東証P]、鹿島建設 <1812> [東証P]などを軸とした 建設、不動産株は継続して幅広く物色される可能性がある。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]のメガバンクのほか、横浜フィナンシャルグループ <7186> [東証P]、千葉銀行 <8331> [東証P]など地銀株への関心も高い。
高値から調整している半導体・AI関連銘柄の押し目は狙い目となりそうだ。株価的には材料出尽くしになったエヌビディア<NVDA>の決算は8-10月期実績、11-1月期予想ともにコンセンサスを上回る内容で、先行きへの安心感が広がっている。過熱感が一巡すれば、再度上値を試す展開が見込まれる。アドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、SCREENホールディングス <7735> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、三井金属 <5706> [東証P]、JX金属 <5016> [東証P]、日東紡績 <3110> [東証P]などに妙味がある。
内需の個別テーマでは、リノベーション関連に注目したい。不動産経済研究所が11月に発表した10月の「新築分譲マンション市場動向」によると、東京23区の新築マンション平均価格は1億5313万円(前年同月比18.3%上昇)となった。建築費や人件費の上昇のほかに、円安もあり外国人から見た割安感からの買い需要などが要因。一般的には手が出にくくなっており、割安な中古物件を刷新するリノベへの需要が高まっている。スター・マイカ・ホールディングス <2975> [東証P]、LAホールディングス <2986> [東証G]、イーグランド <3294> [東証S]、カチタス <8919> [東証P]などが手掛けている。
また、ビルの新築・老朽化や省エネに関する法律の改正などで、ビルオートメーションへの関心が高まっている。26年3月期の第2四半期累計(4-9月期)決算で、関連企業の業績が好調だった。ビルオートメーションとは、ビル(建物)内の空調、照明、セキュリティ、防災などの設備などについてIT(情報技術)を活用して自動化し、一元的に管理する仕組み。代表はアズビル <6845> [東証P]だが、日本電技 <1723> [東証S]、ユアテック <1934> [東証P]、ジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> [東証P]、ホーチキ <6745> [東証P]なども該当する。
(2025年11月28日 記/次回は2026年1月2日 配信予定) 株探ニュース