【米雇用統計】強弱が混在、3月は据え置きの公算-市場関係者の見方
1月の米雇用統計では、雇用者数の伸びは市場予想を下回ったが、過去2カ月分は大幅に上方修正された。失業率は4.0%に低下したほか、平均時給の伸びは市場予想を上回るなど、なお労働市場がなお健全であることを示した。
また年に一度のベンチマーク改定を受け、昨年の雇用増加は月平均16万6000人となった。改定前は同18万6000人だった。
同統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏:
思ったほど弱くはなく、ゲームチェンジャーでもない。労働市場は依然として堅調だ。それは将来の利益にとってプラスであり、米国の短期金利は他国よりも長期間にわたって高い水準を維持できる可能性があることを示している。しかし、2万6000人の政府関連の雇用を除いて、主要な雇用創出部門では、過去6カ月の平均と比較して雇用創出が減少している。これは、ハードランディングを回避しながらディスインフレのシナリオを実現するためにまさに必要なことだ。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
今回の雇用統計を受け、3月の利下げは選択肢から外れた可能性が高い。非農業部門雇用者数の伸びがやや期待外れだったことを除けば、労働市場の底堅さと賃金上昇圧力の持続というのが大局的な見方だ。よって、米連邦公開市場委員会(FOMC)が直ちに利下げする理由はほとんどない。
◎GDSウェルス・マネジメントのグレン・スミス氏:
雇用者数の伸びは予想を下回ったが、過去2カ月分は大幅な上方修正となっており、利下げに関して米金融当局の忍耐強い姿勢が今回の統計で覆されるとは思わない。金融当局がより早い時期に利下げに踏み切るには、雇用統計が連続して弱い内容になる必要がある。1月の雇用者数の下振れは、昨年12月分が大幅な上方修正となった点を踏まえて捉えるべきだ。12月に雇用が大幅に伸びた後、1月にやや鈍化することは理解できる。
◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのリンゼイ・ロズナー氏:
さまざまな要素が混在している。非農業部門雇用者数の伸びは弱く、予想を下回ったが、前月は上方修正され、失業率は4%に低下した。1月の統計は、カリフォルニア州の山火事や、その他の地域での寒波といった一時的な要因の影響を受けた。米金融当局はこの日の統計を過度に解釈することには慎重になるだろう。
◎シット・インベストメント・アソシエーツのブライス・ドティ氏:
今回の雇用統計を受けて、米金融当局は恐らくあと1回政策金利を据え置くだろう。雇用動向が極めて良いというわけではないが、失業率の低下と賃金の堅調な伸びは、労働市場がなお健全であること示している。市場が統計内容を消化するのに伴い、利回りは上昇するだろう。だが、利回りを再び直近の高水準まで押し上げるほど統計内容が力強いとは思わない
◎eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏:
強い賃金上昇は労働者にとって良いことであり、個人消費にとってポジティブな材料と捉えるべきだ。しかし、ウォール街ではここ数年、賃金上昇率が高まり過ぎるとインフレ率が上昇する可能性があるとして、この指標を注意深く見てきた。今回の雇用統計は、主要項目以外の部分では、特に警戒すべきものはない。一部の投資家は、インフレや利下げを巡る影響を懸念しているかもしれないが、誤解するべきではない。経済や労働市場は悪化するよりも、好調である方が良いに決まっている。株式は穏やかなインフレ状況下で好調になる傾向がある
原題:Bond Yields Climb as Jobs to Keep Fed on Hold: Markets Wrap(抜粋)