TSMC、米に1000億ドル追加投資 トランプ氏との会談で発表

半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、同社の魏哲家最高経営責任者(CEO)が3日にトランプ米大統領と会談し、米国での投資計画について協議すると発表した。2024年5月撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)

[ワシントン 3日 ロイター] - 半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabの魏哲家最高経営責任者(CEO)は3日、今後数年間で米国に1000億ドルの追加投資を行い、5つの半導体工場を新たに建設する計画を発表した。ホワイトハウスでのトランプ米大統領との会談で明らかにした。

トランプ大統領は、必要な半導体は米国で製造できるようにしなければならないとし、「これはわが国にとって国家安全保障の問題だ」と言明した。

TSMCは、半導体業界における革新と成長に関する共通のビジョンについて議論し、顧客とともにテクノロジー分野を強化する方法を模索することを楽しみにしていると述べた。

同社によると、計画には3つの新たな半導体製造工場、2つの先進パッケージング施設のほか、大規模な研究開発センターの建設が含まれている。

今回の1000億ドルの投資は、米国の自国生産を促進し、アジア製半導体への依存低減につながるとみられる。TSMCは昨年4月、投資計画を250億ドル拡大して650億ドルとし、2030年までにアリゾナ州に第3工場を建設すると発表しており、今回の投資はそれに追加する形となる。

TSMCは今回の新たな投資計画について、今後4年間で4万人の建設雇用を創出すると述べた以外、具体的な時期には言及しなかった。

アリゾナ州での最初の工場建設は遅延に悩まされ、同社は最終的に台湾の施設よりも高いコストで昨年半導体生産を開始した。

台湾の投資コンサルティング会社キャピタル・インベストメント・マネジメント・コーポレーションのアンドリュー・ツァイ氏は「コスト上昇は間違いなくTSMCにとって懸念事項だ」と語った。

米半導体産業でエヌビディア(NVDA.O), opens new tab、クアルコム(QCOM.O), opens new tab、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD.O), opens new tabの主要製造パートナーとして重要な役割を担うTSMCによる米国での生産拡大は、これらの米企業にとって大きなサプライチェーンリスクの解消につながるだろう。
台湾企業は、ライバルのインテル(INTC.O), opens new tabを救う上でも中心的な役割を果たす可能性がある。事情に詳しい関係者によると、トランプ政権当局者は今年初め、複数の半導体企業が合弁事業に出資する契約の一環として、インテルの工場部門の合弁事業の過半数株式取得についてニューヨークで魏氏と会談した。インテルは会談に関する質問には回答しなかった。
米政府は昨年、TSMCのアリゾナ州フェニックスでの先端半導体生産に66億ドルの補助金を提供すると発表した。 もっと見る

今回の1000億ドルの投資は22年制定の法律に基づき25%の投資税額控除の対象となる。

トランプ政権は米国内への投資拡大を呼びかけており、2月には、米アップルが今後4年間で米国に5000億ドルを投資すると発表したほか、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの高級不動産開発会社ダマック・プロパティーズのフセイン・サジワニ会長や ソフトバンクグループも、米国への数十億ドル規模の投資を約束している。 もっと見る

台湾の卓栄泰行政院長(首相に相当)は、台湾の総合的な競争力を高める海外投資を政府は前向きに捉えており、台湾はハイテク分野において米国にとって「最も重要な」パートナーであると述べた。

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