NY市場サマリー(24日)ドルが対円・ユーロで上昇、利回り上昇 株大幅高 関税巡り楽観ムード
<為替> ドルが円やユーロに対し数週間ぶりの高値を付けた。朝方発表された米総合購買担当者景気指数(PMI)の上昇や、トランプ大統領が関税を巡り柔軟に対応する可能性を示唆する報道が材料視された。
コーペイのチーフ首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「来週発表の米関税が懸念されていたほど極端ではないとの期待から、慎重ながらも楽観的な見方が広がっている」と指摘。同時に「主要貿易相手国からの報復を引き起こす公算が大きく、そうなれば米国および世界経済に打撃を与え、為替市場でさらなる混乱が広がるだろう。そのためトレーダーは大きなポジションを取ることを避けている。ボラティリティーは高止まりする可能性がある」と述べた。
終盤の取引で、ドル/円は0.82%高の150.54円。一時、3日以来の高値となる150.75円を付けた。
ユーロ/ドルは7日以来の安値となる1.078ドルを付けた後、0.09%安の1.0804ドルで推移した。
リスク選好度が高まる中、暗号資産(仮想通貨)のビットコインも7日以来の高値となる8万8772ドルを付けた。
ポンドは0.04%高の1.292ドル。リーブス英財務相は今週、春季財政報告を行う。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが上昇した。指標となる10年債利回りは6日ぶり高水準を付けた。トランプ大統領の関税を巡る発言が材料となった。
これらのコメントを受け、株価は大幅に上昇し、投資家は安全資産である債券から資金を引き上げた。
FHNフィナンシャルのマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノル氏は、24日の取引では投資家の安心感が見られたものの、市場は依然として政策と経済の方向性に関する明確さを欠いているため、今月のほとんどの期間で見られた狭いレンジ内にとどまっていると指摘。「私の見る限り、今月の国債は様々な金利報道と常に存在する関税に関するヘッドラインに反応している。しかし、経済と金利の見通しに関する根本的な再考はなかった」と述べた。
終盤の取引では、指標となる10年債利回りは8.5ベーシスポイント(bp)上昇して4.337%となった。2年債利回りは9.1bp上昇して4.039%となった。
2年債と10年債の利回り格差は前週末と変わらず29.6bpだった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.590%と前週末終盤の2.558%から上昇。10年物は2.354%だった。
米金融・債券市場:
<株式> 大幅続伸し、S&P総合500種は2週間超ぶりの高値で取引を終えた。トランプ政権が貿易相手国に対する関税でより控えめな姿勢を取る可能性があるとの期待から、半導体大手エヌビディアや電気自動車大手テスラなどが上昇した。
CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は「市場ではやや安心感が広がったが、同時にいつまで持続するかには懐疑的だ」と指摘。関税とそれが経済成長やインフレ、企業利益に与える影響という株価調整の原因は解消されていないと述べた。
投資家は28日発表の個人消費支出(PCE)価格指数などに注目している。
米国株式市場:
<金先物> 米政権の関税政策を巡る警戒感がくすぶる中、米長期金利の上昇や対ユーロでのドル高が圧迫要因となり、続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前週末比5.80ドル(0.19%)安の1オンス=3015.60ドル。
NY貴金属:
<米原油先物> 米政権がベネズエラ産エネルギーの輸入国に関税賦課する方針を発表したことを受け、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物は前週末清算値(終値に相当)比0.83ドル(1.22%)高の1バレル=69.11ドル。中心限月の清算値ベースでは2月末以来約3週間ぶりの高値。6月物は0.77ドル高の68.66ドル。
トランプ米大統領は24日、SNSの投稿で、米国がベネズエラに対し二次関税を課すと発表。ベネズエラがスパイや数万人の高官、多くの犯罪者などを米国に送り込んだと主張した上で、同国から原油やガスを購入する国は25%の関税を米国に支払うことを義務付けられるとし、4月2日付で発効すると表明した。関税導入により、ベネズエラでの中国の影響力拡大を防ぐことが狙いとみられている。
これを受けて、供給混乱への懸念から原油買いに弾みがつき、相場は一時69.30ドル近辺まで上伸した。
NYMEXエネルギー:
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