NY市場サマリー(24日)ドルが対円・ユーロで上昇、利回り上昇 株大幅高 関税巡り楽観ムード

<為替> ドルが円やユーロに対し数週間ぶりの高値を付けた。朝方発表された米総合購買担当者景気指数(PMI)の上昇や、トランプ大統領が関税を巡り柔軟に対応する可能性を示唆する報道が材料視された。

米S&Pグローバルが24日発表した3月の米総合PMI速報値は53.5と、前月の51.6から上昇した。 もっと見る
ブルームバーグなどが政府高官の情報として報じたところによると、トランプ政権による相互関税は予定通り4月2日に実施される可能性が高いものの、自動車など特定の産業を対象とした関税については同日に見送られる見通し。ただ、状況は流動的で最終決定は下されていないという。 もっと見る
トランプ大統領はまた、自動車、アルミニウム、医薬品に対する関税措置を「極めて近い将来」に発表すると述べた。 もっと見る

コーペイのチーフ首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「来週発表の米関税が懸念されていたほど極端ではないとの期待から、慎重ながらも楽観的な見方が広がっている」と指摘。同時に「主要貿易相手国からの報復を引き起こす公算が大きく、そうなれば米国および世界経済に打撃を与え、為替市場でさらなる混乱が広がるだろう。そのためトレーダーは大きなポジションを取ることを避けている。ボラティリティーは高止まりする可能性がある」と述べた。

終盤の取引で、ドル/円は0.82%高の150.54円。一時、3日以来の高値となる150.75円を付けた。

ユーロ/ドルは7日以来の安値となる1.078ドルを付けた後、0.09%安の1.0804ドルで推移した。

3月のユーロ圏のHCOB総合PMI速報値は7カ月ぶりの高水準に上昇した。主要産業であるサービス業が減速したものの、製造業の低迷が和らぎ、全体として拡大基調を維持した。 もっと見る

リスク選好度が高まる中、暗号資産(仮想通貨)のビットコインも7日以来の高値となる8万8772ドルを付けた。

ポンドは0.04%高の1.292ドル。リーブス英財務相は今週、春季財政報告を行う。

また、トルコリラは小幅安の1ドル=38リラ近辺。トルコの裁判所は23日、警察が汚職容疑などで拘束したイスタンブールのイマモール市長について、正式な裁判開始前に刑務所へ収監することを決定した。 もっと見る

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが上昇した。指標となる10年債利回りは6日ぶり高水準を付けた。トランプ大統領の関税を巡る発言が材料となった。

トランプ大統領は24日、「多くの国」を関税免除の対象とする可能性があるとの考えを示した。自動車への追加関税について「今後数日中」に発表するとも述べた。 もっと見る

これらのコメントを受け、株価は大幅に上昇し、投資家は安全資産である債券から資金を引き上げた。

FHNフィナンシャルのマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノル氏は、24日の取引では投資家の安心感が見られたものの、市場は依然として政策と経済の方向性に関する明確さを欠いているため、今月のほとんどの期間で見られた狭いレンジ内にとどまっていると指摘。「私の見る限り、今月の国債は様々な金利報道と常に存在する関税に関するヘッドラインに反応している。しかし、経済と金利の見通しに関する根本的な再考はなかった」と述べた。

終盤の取引では、指標となる10年債利回りは8.5ベーシスポイント(bp)上昇して4.337%となった。2年債利回りは9.1bp上昇して4.039%となった。

利回りを押し上げたもう一つの要因は、米S&Pグローバルが24日発表した3月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値だった。サービス業PMIは予想を上回る54.3となった。 もっと見る

2年債と10年債の利回り格差は前週末と変わらず29.6bpだった。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.590%と前週末終盤の2.558%から上昇。10年物は2.354%だった。

米金融・債券市場:

<株式> 大幅続伸し、S&P総合500種は2週間超ぶりの高値で取引を終えた。トランプ政権が貿易相手国に対する関税でより控えめな姿勢を取る可能性があるとの期待から、半導体大手エヌビディアや電気自動車大手テスラなどが上昇した。

トランプ政権は自動車など特定の産業を対象とした関税について、4月2日の発表を見送る方向だと複数のメディアが政府高官の話として伝えた。ただ政権当局者は、状況は流動的で最終決定は下されていないとした。 もっと見る
これまでの売りで大きく値を下げたハイテク株に買いが入り、エヌビディア(NVDA.O), opens new tabが3%超、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)(AMD.O), opens new tabが7%、それぞれ上昇。フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabは3%高となった。
関税を巡る楽観的な見方からテスラ(TSLA.O), opens new tabも12%近く急伸し、昨年11月上旬以来の大幅な上昇率を記録。最近の下落分の一部を取り戻した。
S&P500(.SPX), opens new tabは今月13日に付けた直近安値から約4%回復した。2月19日に付けた終値での最高値からはなお約6%下落している。

CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は「市場ではやや安心感が広がったが、同時にいつまで持続するかには懐疑的だ」と指摘。関税とそれが経済成長やインフレ、企業利益に与える影響という株価調整の原因は解消されていないと述べた。

国内事業に軸足を置く傾向にある小型株中心のラッセル2000指数(.RUT), opens new tabは2.55%高で2週間ぶりの高値を付けた。投資家の不安心理の度合いを示すVIX指数(.VIX), opens new tabは1.8ポイント低下し、1カ月ぶりの低水準となった。
S&P500の主要11業種のうち10業種が上昇。テスラの上昇を追い風に一般消費財(.SPLRCD), opens new tabが4.07%高で上げを主導したほか、通信サービス(.SPLRCL), opens new tabも2.1%高と好調だった。

投資家は28日発表の個人消費支出(PCE)価格指数などに注目している。

個別では防衛大手ロッキード・マーチン(LMT.N), opens new tabが1%超下落。BofAグローバル・リサーチが投資判断を「バイ」から「ニュートラル」に引き下げた。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインの上昇を受けて関連銘柄が買われ、マイクロストラテジー(MSTR.O), opens new tabは約10%、コインベース(COIN.O), opens new tabは約7%、それぞれ上昇した。

米国株式市場:

<金先物> 米政権の関税政策を巡る警戒感がくすぶる中、米長期金利の上昇や対ユーロでのドル高が圧迫要因となり、続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前週末比5.80ドル(0.19%)安の1オンス=3015.60ドル。

NY貴金属:

<米原油先物> 米政権がベネズエラ産エネルギーの輸入国に関税賦課する方針を発表したことを受け、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物は前週末清算値(終値に相当)比0.83ドル(1.22%)高の1バレル=69.11ドル。中心限月の清算値ベースでは2月末以来約3週間ぶりの高値。6月物は0.77ドル高の68.66ドル。

トランプ米大統領は24日、SNSの投稿で、米国がベネズエラに対し二次関税を課すと発表。ベネズエラがスパイや数万人の高官、多くの犯罪者などを米国に送り込んだと主張した上で、同国から原油やガスを購入する国は25%の関税を米国に支払うことを義務付けられるとし、4月2日付で発効すると表明した。関税導入により、ベネズエラでの中国の影響力拡大を防ぐことが狙いとみられている。

これを受けて、供給混乱への懸念から原油買いに弾みがつき、相場は一時69.30ドル近辺まで上伸した。

NYMEXエネルギー:

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