アップルはDEI推進継続へ、将来的に調整の可能性匂わせる

Mark Gurman

  • 外部株主によるDEI廃止案、株主総会で否決-会社推奨と一致
  • 法的環境の変化につれ、何らかの変更加える可能性も-クックCEO

アップルにDEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組み停止と人工知能(AI)事業のリスク検証報告を求めた外部株主の提案は、株主年次総会で否決された。

  アップルは25日、バーチャル形式で株主総会を開催。ティム・クック最高経営責任者(CEO)とケイト・アダムズ法務顧問が議事を進行した。株主はCSAM(児童性的虐待コンテンツ)の会社決定に関する透明性報告の要求や、事前寄付に関する措置案も退けた。いずれもアップルが推奨した通りの結果となった。

  株主は取締役会を再選し、外部会計事務所と役員報酬を承認した。クック氏の報酬は昨年に18%増の7460万ドル(約112億円)となり、その内訳は基本給300万ドル、株式報酬5810万ドル、追加報酬が約1350万ドルだった。

  DEIの取り組みについては、すでにメタ・プラットフォームズやアルファベットのグーグルなど、多くの企業が廃止や縮小へ動き始めている。

  独立系保守派シンクタンクを自称するナショナル・センター・フォー・パブリック・ポリシー・リサーチは、DEI取り組み廃止案を支援。アップルがDEI推進を続けるのは賢明ではないと指摘した。訴訟リスクや風評被害リスク、財務リスクを企業にもたらし、その結果として企業が受託者責任を順守しないリスクにつながるという。

  アップルはこれに対し、提案は事業慣行に干渉することを目的としており、アップルは「採用活動や雇用、研修、昇進において法律が保護する限りにおいていかなる差別も行わない」と反論した。

  クック氏はアップルにはこれまで一度もDEIに結びつけた枠や目標は設定されていないと言明。ただし会社方針にいくらか調整を加える可能性があることを示唆した。

  「アップル独特のカルチャーが、最高のプロダクトとサービスの創造、および世界への提供を可能にしている」とクック氏。「こうした問題に関する法的環境が変化するにつれ、それを順守するために何らかの変更を加える必要性が生じるかもしれない」と述べた。

原題:Apple to Keep DEI Efforts, Though Some Adjustments Possible (1)(抜粋)

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