池田エライザ「なんて」の奥深さにショックと感銘 海外でも高評価のドラマ版「舟を編む」

「舟を編む~私、辞書つくります~」主演の池田エライザ(C)NHK

NHK総合のドラマ10「舟を編む~私、辞書つくります~」(毎週火曜、午後10時)は、池田エライザの主演で、知られざる辞書作りの世界を描いている。昨年、NHK BSで放送され、ギャラクシー賞や東京ドラマアウォードを受賞。今年5月にはドイツで開催されたワールドメディアフェスティバルの金賞にも輝いた。池田は、三浦しをん原作の小説や映画版とは異なるドラマ版の主人公、岸辺みどりを演じている。印象に残った言葉、役を通じて感じた辞書作りの大変さ、作品や日本語への思いを語った。

辞書作りは重みある未来へのバトン

――ドラマ内で最も印象に残っている辞書の言葉は

「第1話の『なんて』は、ショックでした。自分も気兼ねなく使っていて、軽視する意味合いを込めているつもりはなくても、そういうニュアンスになってしまう。心のどこかで分かっているはずなのに、癖で話してしまっている。いろいろな意味が込められている日本語だからこそ、言葉を選ぶことに、人への思いやりや愛があるのだと、感銘を受けました。1話の最後に、馬締(まじめ/野田洋次郎)さんが(軽視するニュアンスとは対照的な形で)『なんて素敵な』という言葉を使ってくれたときは本当に泣きそうでした」

――辞書作りに携わっている人たちへの思いは

「本当に大変な作業なんです。1つの辞書にたくさんの先生が関わっています。この言葉を残さなきゃ、と言うのは簡単でも、(製本の限界である)8センチ幅の辞書の中に、言葉をきれいに収めなきゃいけない。(ドラマに出てくる辞書)『大渡海』は、作るのに16年ぐらいかかっています。重みのある、未来へのバトンだなと思います」

海外の評価「とても幸せ」

――「ワールドメディアフェスティバル」で金賞を受賞。日本語を扱うドラマが海外で評価された

「お芝居の仕事をしていると、脚本家の方がどうしてこの言葉を選んだのだろう? と考えることが多いです。『きっとこの言葉を選んだことには理由があるんだろうな』と思いをくみ取る作業をしています。その度に、日本語の奥深さや、込められた配慮や思いやりを感じています。日本語の言葉がなぜ生まれたのか、どういう意味が込められているのか、ということを題材にした作品が海外で評価してもらえたということは、とても幸せです。『激おこぷんぷん丸』は、どう翻訳されたのかが気になります(笑)」

岸辺みどり(池田エライザ)=中央=と馬締光也(野田洋次郎)=右(C)NHK

――自身が感じる日本語の面白さや奥深さは

「第1話で『悪い言葉なんてない』という野田洋次郎さんのセリフがありました。きっと言葉は、誰かに何かを伝えたくて、必要に迫られて生まれてきたものなんだろうと思います。それをどう使ってあげるかによって、とっても美しいものになる。特に日本語は、昔から言葉遊びが多いですよね。込められた意味で、人の想像力をかき立てて、いろんな表現をすることができる。人の想像に委ねて、それを楽しむことができるのが、すごく好きです。俳句なども大好きで、楽しんでいます」

――初めてドラマ「舟を編む」を見る視聴者へ

「辞書の話となると、少し重たい、真面目なニュアンスを感じる方もいらっしゃるかもしれません。ライトに、気兼ねなく見られて、見終わった後に自分を大切にしたくなるような優しいお話だと思います。ご覧いただく方々にとって、心の休息の時間になったらうれしいです」

いけだ・えらいざ>1996年4月16日生まれ、福岡県出身。2011年公開の「高校デビュー」で映画デビュー。主な出演作は「ルームロンダリング」「真夜中乙女戦争」、ドラマ「FOLLOWERS」「祈りのカルテ」「賭ケグルイ」シリーズなど。女優、ファッションモデル、歌手、映画監督、カメラマンとマルチに活躍。

ドラマ10「舟を編む私、辞書つくります~」

NHK総合 毎週(火)午後10:00~10:45

原作:三浦しをん 脚本:蛭田直美(全話)、塩塚夢(第5話共同執筆) 演出:塚本連平、麻生学、安食大輔

出演:池田エライザ、野田洋次郎、矢本悠馬、美村里江、渡辺真起子、前田旺志郎/岩松了、向井理、柴田恭兵ほか

(TVnavi)

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