かんぽ生命、外債からシフト含め円債最大1兆円購入-償還多く残高減
- ヘッジ付き外債は時機を捉え売却、他資産にシフト-野村執行役員
- 20年債利回りは2.4-2.5%を想定、「今の水準は魅力的」と野村氏
かんぽ生命保険は2025年度の資産運用で国内債を最大で1兆円買い入れる方針だ。償還が多いため残高は前年度に続き減少する。
野村裕之執行役員兼運用企画部長が23日の運用方針説明会で明らかにした。長期債と超長期債を中心に5000億円程度を平準的に購入する。同時に「外債から円債へのシフトを考えており、積極的にできればトータル1兆円のグロスの買い入れを想定している」と述べた。野村氏によると国内公社債の償還は前年度とほぼ同じ1兆3000億円程度で、買い入れが1兆円まで膨らんでも残高は減る。
昨年度を上回る大規模なかんぽ生命の買い入れ方針は債券相場の支援要因になる。明治安田生命保険が円債を減らす一方、T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険と大同生命保険や富国生命保険が円債志向を表明するなど、国内金利上昇を投資機会と捉える動きが出始めている。
外債
ヘッジ付き外債について野村氏は「金利低下のタイミングを捉えて売却し、他の資産へのシフトを考えており、今のところ円債が有望だ」と語った。為替相場には円高リスクがあるとして「バリューが見えにくく、ボラティリティーが高い」と指摘、オープン外債は「積極的に増やす予定はない」としている。
米長期金利は景気下支えを優先する米連邦準備制度理事会(FRB)の再利下げ期待により低下を見込んで「4%割れは十分視野に入っている」と予想した。
円債投資の中心となる20年債利回りは年度末で2.4-2.5%を想定。野村氏は「今の水準は魅力的で、予定している分は淡々と購入していく」と話した。日本銀行の利上げは1回ないし2回を想定。景気対策への思惑などから超長期金利はいったん高止まりするが、米関税政策による世界経済下押し圧力により利上げペースが緩やかになる中、ピークを迎える可能性があるとみている。