【嘘だろ】普通の大学生がサーカスに入団して2年目 → ヤバ過ぎる男が入団して泣いた / 木下サーカスの思い出:第6回
世界一のサーカスをめざし、ごく普通の大学生が木下大サーカスに入団。前回はテント裏のコンテナ暮らしにハマっていく様子をお伝えした。ステージで活躍している先輩方と “同じ釜の飯” を食らう日常。そんな中で現れた新人が……
スター家系の天才児・彰吾(15歳)だった。まさかの「両親がスター」「朝が弱い」「雑用をしない」「でも素直でかわいい」という問題児に、先輩風を吹かせられない私は相変わらず “使えない新人” のまま全国を旅していた。
そんな2年目の冬、なんともう1人の新人が入団してくることが判明! おっしゃーー! と思いきや……
・衝撃の新人
千葉・柏公演を終え、やってきたのは京都の梅小路公園。京都駅から徒歩約15分、現在「京都水族館」のある場所で約2カ月半の公演がスタートした。敷地がやや狭かったため、コンテナハウスを上下に重ねて珍しい2階建ての生活。
前回詳しくお伝えしたが、団員たちはテント裏の敷地でコンテナ暮らしをしている。コンテナの部屋数は限られているため、サーカスに入りたくてもコンテナに “空き部屋” がないと入団はできない。
んで、どうやら部屋が空くのをずっと待っていた人間がいたらしい。私が入団する前、2003年の高崎公演(群馬)でアルバイトをしていたスタッフが「どうしてもサーカスに入りたい」と猛アピールしている──とのことだった。
岡山が本社の木下大サーカスには西日本出身の団員が多いため、関東出身の後輩ができるのは嬉しいかも。しかし……
ついに部屋が空き、やってきたのは……
ヤバ過ぎる男だった。
・無理かも
「マ〜シ〜」と名乗るその男は、私より1つ年上の26歳。幼少期からスポーツ万能で体操経験もバリバリあり、大学時代はボクシング部に所属していたらしい。
さらにパチスロの腕前はプロ並みで、都内でいわゆる夜の仕事をしていた典型的なチャラ男……15歳の彰吾に続き、2連発でえげつない新人が入ってきたようだ。もしかしてサーカスはこういう世界なのだろうか。
そんな彼は高崎公演のアルバイトでピンスポットを担当して以来、サーカスの世界にどっぷりとハマり、気づけば横浜、新潟……とサーカスを追い続け、ついに念願叶って入団が決まったという。彰吾と同じく「空中ブランコを飛びたい」とのこと。
「マ〜シ〜です! あっ、スナコマさんっスよね! ヨシ君(高岡さんという大先輩)からいつも話を聞いてます! 仲良くしてください! オナシャス!」
・泣いた
無理過ぎる……爽やかな後輩と切磋琢磨しながら青春を謳歌するつもりでいたのに、目の前に現れたのはミスターマリックと狩野英孝を足して2で割ったようなクソ怪しい年上の男。
ただ先輩方は、高崎公演のアルバイトが約2年越しで入団ってことで「お前、やっと入団できたか!」と歓迎ムード。やはり雰囲気的に全然後輩という感じではない……悲報すぎるだろ。
しかも彰吾と同じで朝に弱いらしく、若手女性団員のリーダー的存在・諏訪さんが毎朝マ〜シ〜を起こす羽目に……寝ぼけているマ〜シ〜が裸のまま諏訪さんにお礼をして、諏訪さんは悲鳴を上げる毎日。マジでこれから一体どうなってしまうのだろうか。
──こうしてクセ強めな彰吾・マ〜シ〜と共に、いよいよサーカス団員らしい生活が始まろうとしていた。後輩ではなく友人、夢を追いかける仲間として長い付き合いが始まる。
・木下サーカスは名古屋市で公演中
というわけで今回はここまで。現在、木下大サーカスは愛知県名古屋市の「白川公園」で公演中だ。名古屋公演は10月27日までなので、お近くの方はぜひ足を運んでみてほしい。それではまた!