ユーロ圏PMIが上昇、製造業が予想以上の回復-英国も大幅改善
ユーロ圏の企業活動が7カ月ぶりの高水準に達した。巨額に上るドイツの支出計画を前に、製造業が予想以上の回復を示した。
S&Pグローバルが24日に発表した3月のユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)速報値は50.4と、2月の50.2から上昇した。ただ、アナリスト予想の50.7には及ばなかった。PMIは50を上回れば活動の拡大を、下回れば縮小を意味する。
3月の改善は主にドイツが寄与した。同国は数千億ユーロ相当のインフラ・防衛支出パッケージで、5年に及んだ景気停滞からの脱却を目指している。
一方、フランスも改善した。同国の総合PMIは引き続き50を下回ったもののアナリストの予想は超え、製造業に一定の回復が見られた。
「防衛・インフラに大規模な投資を行うという欧州の意思を踏まえると、より持続的な回復への期待は十分に根拠があるように思われる。ドイツでは歴史的な財政パッケージが先週承認されたばかりだ」と、HCOBのチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は24日の発表文で指摘した。
欧州経済の押し上げはドイツの大型財政パッケージだけではない。これまで欧州の安全保障を支えていた米国の軍事支援後退に対応した、欧州の再軍備の流れも経済を後押ししそうだ。改善が実感されるまでには数カ月かかる見通しだが、ドイツを中心に不振が続いていた製造業が最大の恩恵を受けることになる。
ただ、今回のPMIで製造業は予想以上の改善を示したが、サービス業は依然拡大領域にあるとは言え、予想に届かなかった。
欧州中央銀行(ECB)も今月の政策会合で、昨年6月以降6回目となる利下げを決め、景況感の改善に寄与した。だが、政府支出の大幅な増加見通しはほぼ確実にインフレを押し上げるため、今後の政策判断を難しくする。
ECB政策委員会のメンバーであるマクルーフ・アイルランド中銀総裁はダブリンで、「極めて不透明性の強い時代だ」と述べ、「目標をまだ達成しておらず、極めて異例の出来事が世界中で起き、それがインフレに直接的な影響を与え得る場合には、政策当局者は極めて強い警戒感を持ち、金融政策姿勢の変更に慎重でなければならない」と主張した。
S&Pによると、3月はサービス業の投入価格と販売価格の上昇が過去数カ月よりも鈍化した。この2つはECBが注視している項目で、4月の追加利下げを後押しする可能性がある。この会合について、市場は現時点で利下げ確率を50%としている。
英国は6カ月ぶり高水準
S&Pグローバルが同日発表した英国の3月総合PMIは52と、前月の50.5から上昇して6カ月ぶりの高水準。前月から変わらずを見込んでいた市場予想を大きく上回り、景気停滞からの出口がおぼろげながら見えてきた格好だ。
金融サービスと消費者向けサービスの需要好転が景気押し上げに寄与した。ただ、雇用は再び減少し、信頼感も引き続き低調で、懸念がなお残る。トランプ米政権が主要貿易相手国からの輸入品に関税を課す方針を打ち出す中で、英国の製造業生産は1年5カ月ぶりの大幅な減少を記録した。
S&Pによると、3月の英総合PMIは前期比0.1%の国内総生産(GDP)の成長に相当する。それでも、昨年7月の総選挙で労働党が大勝して以来、不安定な足取りを続けていた同国の景気に改善が見られていることを示唆する。
原題:Euro Zone’s Private Sector Picks Up as Germany Fuels Recovery(抜粋)
UK PMI Hits Six-Month High in Early Sign of Economic Turnaround(抜粋)