アングル:同盟国ベネズエラを失うロシア、トランプ氏の「ワイルド・ウエスト」的現実主義で好機も

写真は、ロシアのプーチン大統領がクレムリンでベネズエラのマドゥロ大統領を迎える様子。2025年5月、モスクワで代表撮影。REUTERS

[モスクワ 5日 ロイター] - ベネズエラのマドゥロ大統領が米国に拘束されたことで、プーチン大統領は同盟国を失い、米国の「石油支配力」が強まる可能性がある。ただ、ロシア政府は、トランプ大統領が世界を勢力圏に分割しようとする動きから得られるかもしれない利益にも目を向けている。

マドゥロ氏は、プーチン氏が「親愛なる友人」として戦略的な提携関係を結んでからわずか8カ月後、特殊部隊に拘束された。トランプ氏は米国が世界最大の石油埋蔵量を有するベネズエラを一時的に運営すると発表した。

ロシアの一部の民族主義者は、同盟国を失ったことを批判し、迅速な米国の作戦と、約4年に及ぶ戦争でもウクライナを掌握できていないロシアの失敗を対比させた。

しかし別の観点では、ロシアが「海賊行為」「体制転換」と位置づける米国の「裏庭」での行動は、受け入れやすい。とりわけ、米政権の関与がベネズエラで泥沼化するなら、なおさらだ。

「ロシアは中南米で同盟国を失った」と、匿名を条件に語ったロシア高官は述べた。

「しかし、これがトランプの実行しているモンロー主義の実例ならば、ロシアもまた自らの勢力圏を有していることになる」

この高官が言及したのは、西半球における米国の支配を再確認し、同地域を米国の勢力圏と宣言した19世紀のモンロー主義を復活させようとするトランプ政権の意向のことだ。

別のロシア筋は、ロシア政府は今回の軍事作戦をベネズエラの石油資源を掌握しようとする明確な試みだと見なしており、西側諸国の多くがその点を公然と批判していない点を指摘した。

<トランプの『ワイルド・ウエスト』が孕む危険性>

プーチン氏は中央アジア、コーカサス、ウクライナの旧ソ連諸国でロシアの勢力圏を確立しようとしたが、米政府は冷戦の終結以来こうした動きに反対してきた。

プーチン氏は米国のベネズエラでの軍事作戦について公にコメントしていないが、ロシア外務省はトランプ氏にマドゥロ氏の解放を求めて対話を呼びかけた。同省は以前、トランプ氏の行動をカリブ海における現代の海賊行為だと断じていた。

ロシア国営メディアは今回の軍事作戦を米国の「誘拐行為」だと評し、米国に「病んだ」隣人がいるというトランプ氏の発言を報じ、米国が1990年1月3日にパナマのノリエガ将軍を拘束した事例を引き合いに出した。

「トランプ氏が他国の大統領をまさに『誘拐した』ということは国際法が基本的に存在せず、力の法則しかない状況を示している。しかし、ロシアはかなり前からそのことを知っていたのだ」と、元ロシア大統領顧問のセルゲイ・マルコフ氏は語った。

マルコフ氏はトランプ氏が「ドンロー主義」として更新できると示唆した現代版のモンロー主義はさまざまな解釈ができると述べた。

「米国はロシアの旧ソ連圏に対する支配を本当に認めるつもりがあるのか、それとも、米国があまりに強大で、自国のすぐ近くに大国が存在することすら許さない、というだけなのか」

ロシア上院(連邦会議)情報政策委員会のアレクセイ・プシコフ委員長は、米国の今回の軍事作戦を国家安全保障戦略の直接的な実行だと見なし、米国の覇権を復活させてより多くの原油資源を支配しようとする試みだと評した。

しかしプシコフ氏は、それが「19世紀の野蛮な帝国主義への回帰、そして実際にはワイルドウエストの概念の復活」を招く危険があると述べた。ワイルドウエストとは、米国が西半球で、やりたい放題をする権利を取り戻すという意味だという。

「この勝利は災厄となるのか」と彼は問いかけた。

<ロシア民族主義者、ベネズエラとウクライナを比較>

プーチン氏と中国の習近平主席にとって、米国が西半球に集中し深入りして身動きが取れないとすれば、ロシアがウクライナ、中国が台湾に重点的に取り組む上で好都合なように思われる。

しかし一部のロシア民族主義者はシリアでのアサド前大統領の失脚に続きあまりの短期間で同盟国を喪失したと批判し、米国の迅速な軍事作戦をロシアのウクライナでの遅い進展と比較した。

ロシア最大の石油企業ロスネフチ(ROSN.MM), opens new tabは2020年、ベネズエラの事業を終了し関連資産をロシア政府が所有する企業に売却した。

収監中のロシア民族主義者イーゴリ・ギルキン氏は、米国はベネズエラで、潜在的な脅威に直面した際に大国がどう行動すべきかを示したと述べ、今回の作戦を、中国への石油供給を断つ狙いの一環だと位置づけた。

「わが国のイメージはまた打撃を受けた。ロシアの支援を期待した国がまた支援を得られなかったのだ」

「ウクライナという血まみれの泥沼に首までどっぷり浸かってしまった我が国は、他のことに関わるのは事実上不可能だ。ましてや米国のすぐ隣にある西半球でベネズエラを助けることなどできない」

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As Moscow bureau chief, Guy runs coverage of Russia and the Commonwealth of Independent States. Before Moscow, Guy ran Brexit coverage as London bureau chief (2012-2022). On the night of Brexit, his team delivered one of Reuters historic wins - reporting news of Brexit first to the world and the financial markets. Guy graduated from the London School of Economics and started his career as an intern at Bloomberg. He has spent over 14 years covering the former Soviet Union. He speaks fluent Russian.

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