ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を

 余暇時間(レジャータイム)になるべく体を動かすようにすると、糖尿病のリスクを軽減できるという新しい研究が発表された。

 仕事が終わった夜の時間や、土日や休日の余暇時間に、座ったまま過ごさずに、ウォーキングや体操などの活発な運動を行うことで、2型糖尿病のリスクは37%減少することが分かった。

 「余暇時間の過ごし方を工夫するなど、ライフスタイルに少しの変化を加えるだけで、糖尿病のリスクを減らせる可能性があります」と、デンマークのフレゼレクスベア ビスペビュル病院臨床研究予防センターのアンナ ステージ氏は言う。

仕事をしていないときも立ち上がって体を動かす習慣を

 研究グループは、デンマークで実施されているコホート研究に参加した、働いている30~60歳の成人5,866人を対象に調査した。

 その結果、余暇時間に中強度から高強度の活発な運動を行うことは、2型糖尿病のリスクの低下と関連しており、職場で身体活動を行う場合よりも影響が強いことが示された。

 逆に、余暇時間にテレビをみていたり読書をするなど、座ったままの過ごす時間が長いと、2型糖尿病のリスクは上昇した。

 運動や身体活動を行うことは、2型糖尿病や心血管疾患などの非感染性疾患の予防と管理に役立つ。世界保健機関(WHO)の運動ガイドラインでも、運動を習慣として行うことが推奨されている。

 「2型糖尿病は、有病率が過去10年間で世界的に2倍以上に増加しており、公衆衛生上の大きな負担であり、社会的課題になっています」と、ステージ氏は言う。

 「運動ガイドラインでは、仕事をしているときの身体活動と、余暇時間に行う身体活動は区別されていませんが、仕事をしていないときも、座ったまま過ごさずに、立ち上がって体を動かすようにすると、糖尿病のリスクを減らせる可能性があります」としている。

余暇時間に運動を行っている人は寿命が最大で4.5年延長 運動が寿命を延ばす効果は糖尿病などがある人でも高い
 米国国立がん研究所(NCI)による大規模な調査でも、余暇時間に運動や身体活動を行うことで、軽めの運動であっても、また体重とも関係なく、寿命を延ばせることが示されている。

 余暇時間に活発な運動や身体活動を行っている人は、ほとんど体を動かさないでいる人に比べ、平均寿命が最大で4.5年も延びることが分かった。

 ゆっくりとしたウォーキングなど、低強度の運動であってもメリットがあることも分かった。推奨されている運動量の半分しか行っていない人でも、寿命は1.8年延びた。

 「余暇時間に運動を行うことが、寿命に重要な影響をもたらすことが浮き彫りになりました。運動を習慣として行うとベネフィットを得られることは、男女で共通してみられ、また肥満のある人とない人でも共通してみられました」と、同研究所のがん疫学・遺伝学部門のスティーブン ムーア氏は言う。

 「運動により寿命を延ばせる効果は、糖尿病やがん、心臓病などの病歴がある人でも高いことも分かりました」としている。

 研究グループは、同研究所のコホートコンソーシアムの6件の前向きコホート研究に参加した、21~90歳の成人65万4,827人を10年間追跡した調査のデータを解析し、余暇時間の身体活動と期間中の死亡率との関連を調べた。

 「運動を行うことが健康にとって重要であることを、過小評価してはいけません。軽めの運動であっても、習慣として続けることで、寿命を延ばす効果を期待できます」と、ハーバード公衆衛生大学院疫学部のイ ミン リー教授は言う。

 「運動に慣れてきたら、少しずつ運動の強度を高めることをお勧めします。運動は、健康的な体重を維持し、骨、筋肉、関節を健康に保ち、メンタルヘルスの改善を促し、糖尿病や一部のがんを含むさまざまな病気のリスクを軽減するのに役立つことが証明されています」としている。

 米国保健福祉省(HHS)は、18歳から64歳の成人に、活発なウォーキングなどの中強度の運動を週に150分行うことなどを推奨している。中強度の運動とは、会話はできるものの歌うことはできないぐらいの強さの運動だ。

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