ビットコイン現物ETF、4月に8億ドルが流出する見込み──機関投資家は債券に固執(CoinDesk JAPAN)
「債券を売ってビットコイン(BTC)を買おう」と先週、人気の高いソーシャルメディアのアカウントが発信した。これは、世界金融の要である米国債市場の関税による変動が、ドル建ての通貨システムの脆弱性を露呈したと考える多くの暗号資産(仮想通貨)支持者の意見を反映したものだ。しかし、機関投資家はこの主張に賛同していない。 機関投資家の活動の代理指標とされるアメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)11本は、SoSoValueによると、現時点では、4月に8億ドル(約1160億円、1ドル=145円換算)を超える過去2番目の流出額となる月間累計流出額を記録する見通しだ。2月には35億6000万ドル(約5162億円)、3月には7億6700万ドル(約1112億1500万円)の流出額を記録した。 一方、4月14日に実施された3カ月物国債入札には、機関投資家から強い需要があった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、アメリカ財務省は3カ月物国債800億ドル(約11兆600億円)分発行し、金利は前回の4.175%から4.225%に上昇した。同様に、6カ月物国債680億ドル(約9兆8600億円)分を発行し、金利は前回よりわずかに高い4.06%となった。 しかし、入札に対する応札倍率(入札数に対する落札数の割合)は、3カ月物の短期国債で2.82から2.96に上昇している。つまり、3カ月物の短期国債1枚につき、約3倍の応札があったことになる。6カ月物の短期国債の倍率も2.79から2.90にわずかに上昇した。 この高い需要は、金融機関が依然として米国債を安全資産と見なしていることを示している。短期国債は流動性が高く、リスクが低いと考えられているため、債券レポ市場における担保として好まれている。レポ取引では、一方の当事者が短期国債やその他の有価証券を他方に売却し、後日買い戻すことで合意する。これにより、売り手は短期の資金調達が可能となる。 経済の見通しが不透明な場合、機関投資家は通常、長期ポジションへのコミットメントよりも投資の柔軟性を重視し、財務省短期証券に資金を預ける。 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が中国やその他の主要貿易相手国に対して本格的な貿易戦争を仕掛けたことで、不確実性は高まり、ウォール街では企業収益見通しが突然暗転する可能性もある。月刊誌Inc.によると、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)による3カ月間のガイダンス比率(コンセンサス・ガイダンスを上回る企業数と下回る企業数の比率)は0.4倍に低下し、2020年4月以来で最低となり、過去の平均である0.8倍を下回っている。 一方、アメリカの景気後退の可能性は分散型予測市場で50%を超え、日本の国債利回りの上昇により、リスク資産はさらに複雑な状況となっている。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin ETFs Lose Over $800M in April as Institutions Stick With Bonds Amid Tariff Volatility
CoinDesk Japan 編集部