【ネタバレあり】『DOPE』第9話 髙橋海人の芝居は想像の範疇を超えた
もう光なんてないのだと感じた『DOPE 麻薬取締部特捜課』第9話。物語も大詰め。才木優人(髙橋海人)が、これまで決して口にしなかった言葉を吐き出した。見たことのない表情で。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
渋谷駅前で死傷者多数の爆発事故が発生した。ジウ(井浦新)と才木のゲームが幕を開けた、というわけだ。ジウ曰く、他にも3か所で何かを起こすらしい。「ふざけんな!俺とお前のゲームだろ!俺と直接戦えよ!」と怒りを露わにする才木に対し、ジウは「強い憎悪はあなたの覚醒を手助けする。知らない大勢の人と近くの大切な誰か。怒りはどちらの方が大きいのでしょうね?」と問いかけた。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWAとうとうジウが動き出した。が、彼の目的が見えてこない。才木の隠れた異能力を引き出して彼に何の得があるというのか。自分を殺してくれる相手を探している、とでもいうのだろうか。
単独行動をしている陣内鉄平(中村倫也)と接触した才木。爆破テロを起こした犯人が持っていたペンをもとに、次なる犯行予定場所2か所を特定した。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWA柴原拓海(豊田裕大)と共に現場に向かうと、犯人が爆破ボタンを押し、自分たちも爆発に巻き込まれる未来予知をした。その後、才木は犯人を見つけるなり発砲。次なる犯行場所を言わない男に拳銃を突きつけた。もちろんこれまでにも発砲したことはあったが、今回は躊躇がなく、何より殺気立っていた。切羽詰まった状況とはいえ、これまでの才木とは明らかに違う。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWA棗依央利(熊井啓太)が、異能力ハンターの寒江(松角洋平)、藤川(小倉史也)らによって殺された。棗は、どうしても分からなかった3か所目が「由名川浄水場」であること、過去の事件になぞらえて、水に毒薬を混ぜたテロを起こす可能性があることを才木に託し、この世を去っていた。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWA失意のどん底に突き落とされた麻薬取締部特捜課の前に、泉ルカ(久間田琳加)が現れる。彼女の気配を感じた才木は、ノールックで拳銃を取り出して発砲。彼女が寄りかかる柱に弾丸が直撃すると「ジウはどこだ!言わないと次は当てる!」と言い放った。
ルカは特捜部の感情を逆撫でする態度と発言を繰り返した後、伝言として「ジウが浄水場で待ってるって。毒まくとか、もうどうでもいいってさ。あと浄水場が分かるまでに時間かかりすぎって言ってた。何かガッカリしてたよ。それと時間がかかりすぎると、棗さんが死ぬように仕掛けてたって」と伝えた。才木の脳裏にジウの言葉「強い憎悪は……」が浮かび上がる。怒りを通り越し、笑みをこぼした才木は「もう何なんだよ!」と、心の中にまとわりつく憎しみをぶちまけた。
そして彼は言った。「ジウに伝えてくれ。俺がお前を絶対に殺す」と。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWA「殺害せずに逮捕する」を信念にしていたあの才木が、ドーパーに拳銃を向ける陣内を必死に止めていたあの才木が、これまで絶対に言わなかった言葉を吐き出した。目を見開いて静かに「絶対に殺す」と告げたあの表情と声……言葉の棘から怒り、憎悪、そして殺意が伝わってくる。あんな才木の表情は見たことがない。当たり前だ。それほど「才木優人」の心をぶち壊す出来事が頻発しているのだ。
……つくづく思う。俳優・髙橋海人は、心の深奥にある感情を表現するエキスパートだと。映画、ドラマ、もちろん『DOPE 麻薬取締部特捜課』でも「これまで見たことがない髙橋海人」を目撃してきたが、今回もまた初めて見る彼がいた。
©TBSスパークル/TBS ©木崎ちあき/KADOKAWA毎回「髙橋海人」は「髙橋海人」の期待値を超えていく。視聴者の想像の範疇を遥かに超えて、未体験の領域まで誘ってくれる。だからみんな「髙橋海人」にやみつきになる。だから「髙橋海人」についていきたくなる。そんなことを感じた。
次回は最終話。ジウとどのような決着をつけるのか。そして陣内との共闘はあるのか──。
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