勢いづくビットコイン、懐疑派も認めざるを得ない局面に

暗号資産(仮想通貨)ビットコインが今週、約5%上昇した。一時11万2000ドルを初めて突破し、直近7週間のうち6回目の週間での上昇を記録する勢いだ。

  一方、長らく分散投資ポートフォリオの要とされてきた米国債は今週、米財政を巡る懸念の高まりを背景に大幅に売られた。戻り基調にあった米国株も失速し、社債への売りも見られた。

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  もちろんビットコインが安全かつ信頼できる分散投資先だと言えるわけではない。しかしビットコインの値動きに連動する最大の上場投資信託(ETF)には今年に入ってから100億ドル(約1兆4200億円)が流入しており、その額は増え続けている。

  アメリカン・センチュリー・インベストメント・マネジメントのマルチアセット戦略最高投資責任者(CIO)、リッチ・ワイス氏は「流れに抗い続けることは難しい。少なくとも有望な資産クラスだと認めざるを得ない」と指摘。「われわれの業界では、市場の流れに永遠に逆らい続けることはできない。だから、私のような懐疑派でもそろそろこの流れに乗らざるを得ないのかもしれない」と述べた。

  今週は株式・債券・クレジット物といった伝統的資産が一斉に売られ、損失が拡大。ドルも売り優勢となっており、5カ月連続の下げとなれば約5年ぶりの連続安記録となる。代わりに、経済サイクルとの結び付きが弱い資産に資金が殺到した。

  国債利回りが世界的に上昇する中、米30年債利回りは一時5.09%に達した。トランプ米大統領が進める脱グローバル化路線に伴う米財政への圧力が懸念されているためだ。米国では不調だった20年債入札、米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国の信用格付け引き下げ、トランプ大統領が推進する大型税制・歳出法案の修正案の下院通過が懸念をさらに強めた。

  投資運用会社ヴァンエックのマルチアセット・ソリューションズ責任者、デビッド・シャスラー氏は「これは何かを変えなければならないとの市場から米政府への警告だ」と指摘。「ドル、債券、株式から同時に資金が逃避する状況になるなら、ポートフォリオをビットコインのような政府や中銀に依存しない資産へと移行させるべきだ」と語った。

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原題:Bad Week for Wall Street’s Old Guard as Crypto Burns the Haters(抜粋)

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