マクロン仏大統領夫人に対するネットいじめ、10人に有罪判決 パリ裁判所
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フランスのエマニュエル・マクロン大統領(48)の妻ブリジット・マクロン氏(72)を標的とした「サイバーブリイング」(インターネット上でのいじめ)をめぐる裁判で、パリの裁判所は5日、10人に有罪判決を言い渡した。
被告の男性8人と女性2人は、ブリジット氏の性別と性的指向について裏付けのない主張を拡散したほか、マクロン氏と24歳の年齢差があることについて「悪意のある発言」を行ったとして起訴されていた。
被告の大半には、最長8カ月の執行猶予付き禁錮刑が言い渡された。被告の1人は出廷しなかったため即時収監された。また、数人の被告はソーシャルメディア・アカウントの停止処分を受けた。
判事は、被告たちがブリジット・マクロン氏に害を与えるという明確な意図を持って行動し、品位をおとしめる侮辱的な発言をオンライン上で行ったと指摘した。
独立系ジャーナリストを自称するナターシャ・レイ被告と、インターネット占い師のアマンディーヌ・ロワ被告は、フランスにはファーストレディ(大統領の配偶者)は存在せず、ブリジット氏の兄ジャンミシェル・トロニュー氏が性別を変更してその名前を使い始めたのだと主張したことで、昨年すでに名誉毀損で有罪とされた。しかしその後、控訴審で無罪となった。
控訴裁判所は無罪とした理由について、性別を変更したという発言は必ずしも「その人物の名誉に対する攻撃」にはあたらないと説明した。
マクロン夫妻は現在、この判断を不服として、高等裁判所に上訴している。
ブリジット氏の弁護人ジャン・エノシ氏は5日の判決を受け、こうした行為を「抑止するための講習」を実施し、加害者の「アカウントを停止することが最も重要だ」と述べたと、AFP通信は報じた。
オジエール氏は当時、「母は服装や姿勢の選び方に注意を払わなければならなくなった。(中略)自分のイメージがこうした理論の補強に使われることを、母は完全に理解している」と述べた。
ブリジット氏は「それに慣れて生きることを学んだ」一方で、孫たちが学校でからかわれるなどの影響が出ていることに苦しんでいるとも、オジエール氏は述べた。
5日にフランスで下された判決は、アメリカで今後開かれるはるかに大規模な裁判の前哨戦ともいえる。
マクロン夫妻は、ブリジット氏の性別に関する陰謀論をしきりに唱えてきたアメリカの右派インフルエンサー、キャンディス・オーウェンズ氏を名誉毀損で訴えている。
夫妻は、オーウェンズ氏が「自分の主張が誤りだと証明する確かな証拠をすべて無視し、有名な陰謀論者や、名誉棄損の常習者に発言の場を与えた」と主張している。
オーウェンズ氏は自身のポッドキャストやソーシャルメディア・アカウントで、ブリジット氏の性別に関する主張を繰り返している。2024年3月には、ファーストレディが「実は男性」だという自分の信念に、自分の「キャリアの評判すべてを賭ける」と述べた。
マクロン夫妻は当初、法的措置を取ればオンライン上のうわさをかえって拡散させることになるとして、うわさを無視するのが最善だと助言されていた。
夫妻は、オンライン上の攻撃が無視できないほどの規模に拡大したと判断。アメリカの裁判所で自分たちの私生活をさらすリスクがあることを承知のうえで、陰謀論者に対抗することを決めた。
ブリジッ氏がトランスジェンダーの女性だとする陰謀論は、マクロン氏が2017年に大統領に初当選して以降、広まってきた。
夫妻は、ブリジット氏が教師を務める高校で初めて出会い、2007年に結婚した。
結婚当時、マクロン氏は29歳、ブリジット氏は50代半ばだった。