ユーロ・ドルの等価、今月にも到達の予想増加-トランプ氏就任直後か

米国では2期目のトランプ政権発足への準備が進んでいるが、為替市場もめったにないイベントの発生に備えている。それは、ドルとユーロのパリティー(等価)だ。

  パリティーは今月20日の米大統領就任式後に実現する公算が大きいと、BNYメロンやみずほのストラテジストらは予想する。

  ユーロはドルに対して昨年9月後半以降に7%強下落し、先週には1.0226ドルと、過去2年余りで最低の水準を付けた。オプション市場では1-3月(第1四半期)中にパリティーに達する確率が約40%とされ、同水準をターゲットとする取引は先週急増した。

  市場では、トランプ氏の就任式以降に相場が動意づくとみられている。BNYとみずほは、貿易戦争が生じる場合には欧州がその犠牲になり、米欧の成長期待の相違がドルを押し上げるだろうと予想。両行とも、今月にもユーロ・ドルはパリティーに達すると考えている。

  BNYのシニアストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は「現水準から(パリティーまで)あまり遠くないため、極めて短期間のうちに起こる可能性がある」と指摘、1月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)の会合近辺がユーロ弱気のピークになるとの見方を示した。「パリティーは避けられない」とも述べた。

  ユーロが誕生した1999年以降に対ドルでパリティーとなったのは数回しかなく、米国と比べてユーロ圏の経済状態がいかに悪いかを示す証左となることが多かった。直近でパリティーを付けた2022年は、ロシアがウクライナを全面侵攻し、エネルギー危機とリセッション(景気後退)懸念が欧州を襲った時だった。

  エネルギー供給と安全保障は依然として懸念事項であり、ウクライナを経由したロシア産ガスの欧州向け供給は先週停止した。それでも、エネルギー価格の上昇が「成長低迷」にあえぐ欧州の金融政策当局者を不安にさせる公算は小さいと、みずほセキュリティーズの欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)マクロ戦略責任者ジョーダン・ロチェスター氏は指摘した。

  欧州の輸出主導型経済は現在、米国が貿易関税を課す恐れに直面。緩やかなアプローチをとる米金融当局とは対照的に、ECBは急激な利下げが必要になるとの臆測もある。

  野村ホールディングスのG10スポット取引責任者、アントニー・フォスター氏は「センチメントはこれ以上、悪くなりようがない」状態だと述べ、トランプ氏が就任直後に関税を導入するかどうかを見極めるため就任式のある20日に注目すると説明した。

  このほか、JPモルガン・チェースなども今四半期中のパリティー到達を予想している。ウェルズ・ファーゴは4-6月(第2四半期)の方が実現の可能性が高いとみている。

原題:Traders Look Past Euro’s Bounce for Parity as Soon as This Month(抜粋)

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