中国でも愛子さまと雅子さまは大人気…「日本の皇室」が世界中から尊敬される本当の理由 数百年~千年単位で王室が続いている国は珍しい

日本の皇室は世界でどう評価されているのか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「中世以前からの伝統を現在も維持している王室は世界的に見て非常に珍しい。だからこそ、中国やアメリカ、アフリカだけでなく、王室のある中東やヨーロッパの国々からも特別な存在だと思われている」という――。
※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない6』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。
写真=共同通信社
23歳の誕生日を迎え、上皇ご夫妻にあいさつするため、仙洞御所に入られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2024年12月1日午前、東京・元赤坂
日本人より詳しい? 中国人の「皇室愛」
2024年に天皇皇后両陛下が国賓としてイギリスを訪問されました。これはチャールズ国王が戴冠後、国賓としての初訪問になります。
私は天皇皇后両陛下がバッキンガム宮殿での晩餐会に出席する日に、パレードを見に行きました。
イギリス政府による宣伝が功を奏したのか、当日はバッキンガム宮殿前の「ザ・マル」はすごい人出で、世界各国の観光客や皇室と王室ファンが集っていました。
通常イギリス王室のイベントを見に来る外国人観光客は欧州大陸の人が多いのですが、今回は中国やタイなどアジア系の方も多く、熱心に写真を撮影していました。
日本でのイメージと違い、中国やタイの方々は日本の皇室が大好きです。とくに中国大陸での人気はすごく、中国のニュースサイトやゴシップ雑誌には皇室ネタが頻繁に掲載され、雅子様のご病状や愛子様の勉学のことなどが事細かに報じられています。
それだけではなく、メディアにあまり登場されない皇室のみなさんのことまでご存じのファンが多いのです。その好奇心や情報量に驚かされる日本人は多いでしょう。
皇室のファッションや上品さに羨望のまなざし
中国大陸の方々、とくに女性は日本の皇室のファッションやライフスタイルにも興味津々です。自国に王室がないため、伝統と現代が共存している日本の皇室に興味を持つ方は、やはり多いのです。皇室の上品さや自国には存在しない伝統行事などには、羨望の眼差しが注がれています。
日本の方は「中国人の誰もが反日的な感情を持っている」と思われているかもしれませんが、そういう人々は実はごく一部。一般の人々は、どちらかというと皇室を含め「日本に興味津々な人」だらけです。
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そして日本の皇室は、欧州や中東の王族とはそのあり方がまったく異なります。
衣装や伝統が西洋社会のものとは別物ですし、宗教も言葉もまったく違います。とにかく異なる文明に属しているのです。
ほかの地域の人々から見ると大変エキゾチックで、ミステリアスに映ります。そしてその王朝の人々がイギリスにやってくるというのは、やはり大変なことなのです。
同じ王朝がずっと続いている点からみても、日本の皇室は特別な存在です。王朝は一般に、権力が変われば崩壊するのが当たり前です。政権交代時には関係者は皆殺しになるのが歴史の“定番”です。
ところが日本の場合、南北朝の争いなどはあったものの、朝廷は長い間継続されており、権力闘争とは異なった位置に属してきました。「皇室の本質=司祭」だとはいえ、それでも王朝が崩壊することなく継続している状態は、特異なのです。
日本人は気がついていませんが、皇室が中世以前からの伝統を保存している点も大変重要です。ほかの国では王朝崩壊に伴い、文化財や伝統も消えるのが当たり前です。
洗練された文化と長い歴史を誇る皇室
また意外に聞こえるかもしれませんが、イギリスでは多くの人が日本の皇室にまつわることに大変な興味を持っています。これは王室が徳川幕府や皇室から贈られた品を展示した際、多くの見学者が訪れた事実からもわかります。
今回の天皇皇后両陛下のイギリスご訪問に関してはかなり前からイギリスのメディアで報じられ、ニュースでも大きく取り上げられていました。広く一般に無料配布される新聞にも、天皇陛下のお写真が掲載されたほどです。
ほかの国の王族もイギリスを公式訪問することはありますが、メディアにここまで取り上げられることは稀です。
やはりこれは日本という国がイギリスに限らず欧州全体から見て「非常に特別である」ことの表れでしょう。先ほども述べたように日本には欧州に劣らぬ洗練された文化があり、皇室の歴史は欧州のどの王室よりも長いのです。