現代の奴隷「京都の舞妓に人権なんてない」元舞妓が再び告発、未成年飲酒や性行為強要の調査求める

京都の花街で、舞妓たちに対する未成年飲酒や性行為強要、賃金未払いなどが横行しているとして、元舞妓の桐貴清羽さん(25歳)が6月5日、東京・永田町で記者会見を開き、実態調査や改善を求めてうったえた。

彼女の声に賛同した弁護士や学者らが「舞妓と接待文化を考えるネットワーク」を立ち上げ、国内外に違法行為の告発や是正申し入れの声を上げていくとしている。

2022年にSNS上の告発投稿が話題になった桐貴さんは、舞妓がおかれた状況について「現代の奴隷制度」と表現した。この日の会見で「15歳や16歳の未成年を水商売のプロに育てなくてもいいと思う」などと語った。

●今でも「お風呂入り」は継続している

桐貴さんは中学卒業したあと、2015年から2016年にかけて舞妓として生活していた。京都の花街で、未成年飲酒や客との混浴(お風呂入り)などがあるとして、2022年にSNS上で告発し、大きな波紋を呼ぶことになった。

「当時16 歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)」

「お兄さん」(客)と飲酒したという16歳当時の桐貴さん(本人提供)

こうした事態を受けて、当時の厚生労働大臣、後藤茂之氏は一般論として「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下で、芸妓や舞妓としてご活動いただくことが重要」という見解を示した。

桐貴さんは2024年、国連の女性差別撤廃委員会に報告書を提出した。今年1月にも、この問題をマンガ化してうったえてきた。

「舞妓さんに人権がないことで退職しました」

6月5日の記者会見で桐貴さんはこう口にした。

「(客と)旅行に行って、タオルを巻いて『お風呂に入るよ』と誘われました。一緒に行ったお姉さんが体を張って守ってくれました」と振り返った。

桐貴さんたちによると、未成年者の舞妓には、接待において飲酒の強要があるほか、客から体を触られるなどのセクハラ被害も横行しているそうだ。

●「性行為を求められれば拒否できない構造」

また、舞妓たちは置き屋が設定した借金を負わされ、年季明けの前にやめることを希望する場合は「法外な金額の支払いを請求される」という。

桐貴さんは、今でも「お風呂入りは継続している」「未成年の舞妓はまだ飲酒している」と語る。また、現役の舞妓から、同様の劣悪な状況にあることが伝えられているという。

「私は年季前の退職を希望したため、法外な請求をされました。自分で支払わなくてもいいと紹介されたのが、旦那さん制度でした。

結婚とは別の形で関係をもち、契約は300万円〜6000万円。人身売買そのものと感じています。

一部の人気の芸妓、舞妓さんをのぞけば、性行為を求められれば拒否できない構造になっています」(桐貴さん)

●「女性の性を『献上』する接待は許されない」

ネットワーク賛同者の岸松江弁護士は、桐貴さんらが置かれていたという状況について「労働基準法違反や児童福祉法違反などさまざまな法律に違反している」と指摘。

左から伊藤和子弁護士、桐貴さん、岸松江弁護士

伊藤和子弁護士は「児童労働、人身売買、強制労働、すべて当てはまると思われる。舞妓さんは現代の奴隷と言われる人々に該当する」とし、「国際的に根絶しなければいけないと言われるものが日本文化の足元において温存されている」など厳しく断罪した。

ネットワークは、国や京都市などが実態調査をするべきとの考えだ。

「未成年者に対する飲酒の強要、わいせつ・性行為の強要、長時間労働、賃金未払い、『妾契約』の強要など、目を覆うばかりの違法行為が横行し、さながら『人身売買』ともいうべき実態があります。女性の性を『献上』・搾取した上での『接待』行為は絶対に許されない」(ネットワーク)

●桐貴さんたちの会見

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

関連記事: