1月6日の議事堂襲撃から5年、ホワイトハウスが内容書き換え 事態激化は警察の責任と主張

5年前の米議会議事堂襲撃事件で警官や治安部隊と衝突するトランプ氏の支持者たち/Brent Stirton/Getty Images/File

(CNN) 米ホワイトハウスは6日、2021年1月6日の歴史的記録を全面的に書き換えた新しいウェブサイトを公開した。5年前に連邦議会議事堂を襲撃したトランプ支持派の暴徒を、法執行機関に挑発された「平和的な抗議者」と称している。

この新しいウェブサイトは21年1月6日の暴動について、法執行機関と当時のペロシ下院議長によって扇動されたものだと根拠なく主張している。暴徒をその日の犠牲者に書き換え、トランプ大統領を英雄として描く内容にもなっている。後者に関しては、死傷者を出したこの襲撃事件に絡んで起訴された約1600人に全面的な恩赦を与えたというのが理由だ。

トランプ氏は長年にわたり、1月6日の襲撃事件にまつわる不都合な内容を隠蔽(いんぺい)してきた。この時は自身の数千人の支持者がバイデン次期大統領の勝利の承認を阻止するべく、議事堂に突入した。しかし今回の新しいサイトは、トランプ氏のこれまでの言説をはるかに超え、長らく否定されてきた主張をホワイトハウスの公式プラットフォームとして提示している点が注目に値する。

新たなサイトの中心的なテーマの一つは、トランプ氏が長年訴えつつも完全な虚偽とされている「20年の選挙は盗まれた」という主張だ。大規模な不正投票が行われたとする同氏の度重なる虚偽こそ、本人並びにその支持者たちが1月6日の議会による選挙結果の承認を阻止しようとした理由だった。

ホワイトハウス広報部長のスティーブン・チャン氏は、X(旧ツイッター)への投稿で、このウェブページはメディアの怒りを引き起こすための「罠(わな)」だと示唆した。CNNは以前、トランプ政権がホワイトハウスの公式ウェブサイトを利用して反対派を翻弄(ぐろう)している様子を報じている。

恣意的な「タイムライン」

ウェブサイト上の恣意(しい)的に選ばれた「タイムライン」によれば、トランプ氏は1月6日にホワイトハウスの南側にある広大な芝生広場「エリプス」で行った演説の中で「選挙不正の証拠を詳述」し、平和的な抗議活動として「強さと決意」を示すために議事堂へ行進するよう群衆に呼びかけたことになっている。不正疑惑は1月6日の数週間前に否定されており、このタイムラインでは支持者に対し「死に物狂いで戦うべきだ」と2度述べた演説の部分が省略されている。

また暴徒が窓を割って議事堂に侵入し、警察を襲撃した詳細は省かれている。その代わりに、当日の集会は「秩序正しく活気に満ち、旗やプラカード、そしてトランプ大統領を支持するシュプレヒコールが響き渡った」と主張している。

このウェブサイトは、トランプ支持者の群衆が議事堂に押し寄せた当日、米国議事堂警察が「意図的に緊張を高めた」と根拠なく非難。群衆に向けて催涙ガスを発射するなど、警官の「挑発的な戦術」が「平和的なデモを混乱に陥れた」とした。実際には暴徒が最初に警察を攻撃したことを示す膨大な映像記録が存在する。

CNNは議事堂警察にコメントを求めている。

ホワイトハウスはまた、議事堂の外で心臓発作と脳卒中という自然死を遂げた複数のトランプ支持者たちについて、その日に「殺害された」と主張した。

ウェブサイトには、「命を落とした法執行官はゼロ」という、議論の余地のある主張も含まれている。

議事堂警察のブライアン・シックニック巡査は、議事堂警備中に暴行を受けた翌日、脳卒中で死亡した。首都ワシントンの検死官は、1月6日に「起こったすべての出来事」がシックニック氏の死に影響を与えたと述べた。議事堂に出動した他の警官4人も、襲撃事件の数カ月後に自殺した。ホワイトハウスのウェブサイトには記載がないが、同日は他に140人の警官が負傷し、中には入院を余儀なくされた者もいる。多くは後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患った。

ペンス氏とペロシ氏を糾弾

このウェブサイトは、トランプ氏の物議を醸した主張も支持している。それは当時のペンス副大統領が、その日の上下両院合同会議中に「争点となった選挙人名簿を州議会に差し戻し、審査と認証を取り消す機会があった」にもかかわらず、「卑怯(ひきょう)な妨害行為」としてそれをしなかったという内容だ。

ペンス氏本人やあらゆる政治的立場の法学者、そしてルビオ国務長官を含むトランプ氏の多くの側近や顧問は、当時の副大統領が20年の大統領選の認証を拒否することは明らかに違憲だったと述べている。

さらにホワイトハウスのウェブサイトは、当時民主党の下院議長だったペロシ氏を1月6日の悪役の筆頭として描写。HBOのドキュメンタリー番組で同氏が議事堂の警備について「もっと多くの事態に備えさせなかった責任は私にある」と述べた発言を引用した。

この発言は、トランプ氏が繰り返し主張してきた、1万人の州兵の先行展開というトランプ氏の申し出をペロシ氏が断ったという主張を証明するものではない。ペロシ氏はそのような申し出を受けたことを常に否定している。また首都ワシントンの州兵の責任者は下院議長ではなく大統領となっている。

ホワイトハウスは、議事堂襲撃事件で起訴または有罪となった数千人を恩赦したことでトランプ氏が「歴史的な過ちを正した」と主張している。昨年の大統領就任初日、トランプ氏は起訴された暴動参加者1600人近くを恩赦し、プラウド・ボーイズやオース・キーパーズといった右翼過激派グループの指導者の刑期を減刑した。

ホワイトハウスのサイトは恩赦を受けた1600人全員を「愛国心のある米国民」と呼んでいる。これらのグループには極右民兵組織のメンバー、警官への暴行で有罪になった人々、ナチス支持者とされる人々、そして議事堂に武器を持ち込んだ人々が含まれる。

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