【無料記事】緑の息吹感じたJリーグオールスター|岸上敏宏 | SempreVerdy
13日、JリーグオールスターDAZNカップがMUFGスタジアム(国立競技場)で行われた。味の素フィールド西が丘での前日公開練習を含め長丁場の取材となったが、J1、J2、J3とそれぞれの舞台でプレーする元東京ヴェルディの選手たちの活躍を見ることができた。
『秋春制』への移行に伴い、異例の“1.5シーズン”を送る今季のJリーグ。約4カ月間の短期間で実施された百年構想リーグが終了し、8月初旬に2026-27シーズンを控えるなか、特別なシーズンのクライマックスを華々しく飾るべく、J1、J2、J3の60クラブすべてが参加する特別なオールスターが行われた。
百年構想リーグの組み分けをもとに、『J1 EAST』、『J1 WEST』、『J2・J3 EAST-A』、『J2・J3 EAST-B』、『J2・J3 WEST-A』、『J2・J3 WEST-B』の6チームがトーナメント形式で激突する、異例のワンデートーナメント。(1試合30分、決勝を除く順位決定戦は20分)
今大会では東京Vから選出された森田晃樹、染野唯月、福田湧矢の3選手に加え、『J1 EAST』では三竿健斗(鹿島アントラーズ)。『J1 WEST』では木村勇大(名古屋グランパス)、見木友哉(アビスパ福岡)。
『J2・J3 EAST-A』で上福元直人、袴田裕太郎(いずれも湘南ベルマーレ)、『J2・J3 EAST-B』で三浦知良(福島ユナイテッドFC)、佐藤凌我(ジュビロ磐田)。『J2・J3 WEST-B』で佐藤久弥、富所悠(いずれもFC琉球)、阿野真拓(テゲバジャーロ宮崎)、河村慶人(鹿児島ユナイテッドFC)と東京Vに在籍経験のある複数の選手たちが参加。
また、大会サポートのため、植村健太ドクター、金内祐介トレーナー、牟田口宙義トレーナーのメディカルチーム3名も参加していた。
今回の2日間の取材では畏れ多いキングカズや個人的に面識がない富所ら一部選手を除き、近年の東京Vでプレーした選手の近況を中心に取材。個別の記事は随時配信していくが、オールスターに関するトピックを各選手のコメントとともにざっくりとお届けする。
キングカズの見せ場も演出
1DAYトーナメントの幕開け選手参加のイベント、アーティストライブ、各地のグルメ企画やマスコットパレードなど盛りだくさんのコンテンツとともに最終的に『6万158人』の大観衆を集めた今回のオールスター。
注目のオープニングゲームとなった『J2・J3 EAST-A』と『J2・J3 EAST-B』では『J2・J3 EAST-A』の袴田がスタメン出場。対戦相手では袴田が横浜FC時代に共闘し、尊敬するキングカズが同じく先発出場。
オープニングゲームは今回のオールスターにおける“ガチ度”の基準を作る一戦となり、“お祭り”という面を考慮すれば、誰もが望むキングカズのゴールを実現すべく多少の手心を加える可能性も想起された。
だが、お世話になっていた大先輩とマッチアップした袴田は「時間が短いですけど、無失点で勝ってみんなで喜びたい」、「やっぱり勝負なので。(横内昭展)監督も言ってましたけど、上で戦いたいので、なかなかできる経験じゃないと思うので、自分の力を精一杯出せたらなと思います」と戦前の宣言どおり、しっかりとした守備で応対。2-0の勝利に貢献している。
続く『J2・J3 WEST-A』、『J2・J3 WEST-B』の2試合目は元東京V勢のプレーはなかったが、『J2・J3 WEST-B』が吉尾虹樹のゴラッソを守り切って1-0の勝利。
『J2・J3 EAST-B』と『J2・J3 WEST-A』の対戦となった5位・6位決定戦には佐藤凌我が途中出場。1戦目はフォワードとして出場したものの、2試合目では「去年監督が代わった時に練習では少しやったことはありますが、試合では初めて」と語った右ウイングバックでプレー。
そして、終了間際の18分には槙野智章監督と2トップを組んだキングカズのヘディングシュートを演出する好クロスも供給。いくつかの見せ場も作り、2-0での5位フィニッシュに貢献した。
「槙野監督から『2人が前線に入るからクロスを上げてくれ』と言われていたので、そのとおりにやりましたね。(個人としてはゴールを)決められれば良かったですけど、短い時間でも楽しくやれました」
「本当にありがたい機会だと思いました。でも、もっともっと自分としては活躍して、またこういう機会に呼んでもらえるように頑張りたいなというふうに思いました」
番狂わせ起こしたJ2・J3組で2選手が輝く
準決勝からはJ1勢が揃って参戦。『J1 EAST』は初戦を突破した『J2・J3 EAST-A』と対戦。この試合では『J1 EAST』で森田、染野、福田、三竿が出場し、『J2・J3 EAST-A』では上福元が出場。
その出場5選手のなかで最も輝きを放ったのは、湘南の守護神・上福元。流れの中では守勢を強いられたなか、天野純や佐藤龍之介の決定的なシュートを見事な反応で阻止。0-0でサドンデス形式のPK戦に持ち込む原動力となった。
そのPK戦では東京V現エースの染野と元守護神の対決が実現。この勝負は国立で無類の勝負強さを発揮する強心臓のエースストライカーに軍配が上がったものの、2人目で天野のシュートミスを誘発した上福元は番狂わせに貢献し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。なお、フラッシュインタビューでもだいぶその片鱗を垣間見せた、“話が長い男”として知られるナイスガイには残念ながらタイミングが合わず、今回は取材できなかった。
準決勝のもう1カードは『J1 WEST』と『J2・J3 WEST-B』が対戦。この試合では『J1 WEST』で木村と見木、『J2・J3 WEST-B』で阿野と河村、富所が揃って先発出場。
直前の『J1 EAST』の敗戦によって少しザワつく雰囲気のなかでスタートした一戦では『J1 WEST』の木村が最前線で強さを見せつつ、番狂わせを狙う『J2・J3 WEST-B』では阿野と河村が前線からの積極的なプレスを仕掛けて食らいつく。そんななか、7分には『J2・J3 WEST-B』が大会ベストゴールに選出された榊原彗悟のゴールで先制。
以降は本気モードのJ1チームの攻勢が続いたが、24分には河村に見せ場。カウンターから左サイドのスペースでDF荒木隼人相手に仕掛けてボックス左に持ち込むが、ニア上を狙った左足シュートは元日本代表GK権田修一の見事なワンハンドセーブに阻まれ、惜しくもゴールとはならず。それでも、河村にとってはらしさと成長を示すワンプレーとなった。
「自分の感覚では自分の良さを出すのが一番かなと思ったので、ああやって仕掛けてシュートまで行けたのは良かったと思います。さすが権田さんでしたね(笑)」
「打った感触も良かったですし、打った後もボールを見たら軌道も良かったので、入ったかなと思ったんですけど、さすが代表でしたね(笑)」
「(自身不出場の)初戦に勝ってもらって、J1とやりたい気持ちだったので、本当にJ1とできて貴重な経験でしたし、その中でも自分らしいプレーも出せたと思うので、いい思い出ができました」
それでも、東京V時代から持ち味としていた献身な守備やGK茂木秀ら守備陣の活躍で逃げ切った『J2・J3 WEST-B』が1-0の勝利で、ジャイアントキリングに成功した。
ストライカー対決に新旧10番対決
前日練習でのツーショット特別なオールスターらしい番狂わせの連続によって『J1 EAST』と『J1 WEST』の目玉カードは3位・4位決定戦で実現。同試合では序盤に染野と木村によるストライカー対決、終盤に森田と見木の新旧10番対決が実現している。
ともに勝って終わりたい両チームの一戦は序盤から白熱。だが、9分に『J1 WEST』が中谷進之介のヘディングゴールで先制に成功。さらに、11分には背後へ抜け出した木村がDF元砂晏翔仁ウデンバに倒されてPKを獲得。このプレーで左ヒザを気にしながらピッチを去る形となった木村だが、「今日も最後ちょっとあれだったけど、ケガなく終えられたことに感謝」と問題ないと説明。前日練習でもイチャイチャしていた森田とのピッチ上での競演ができなかったことを心残りと語りながら、今大会を心から楽しんだ。
「晃樹とやりたかったけど、逆にソメ(染野唯月)とはできたので。晃樹とは定期的に会っているんで、別にあれですけど、ソメとなんか久しぶりにピッチの上で会えたのですごく良かったですね」
「もっといろんな選手とやりたかったですけど、やっぱりそういう名前がある選手とやるのも楽しかったし、意外と名古屋の選手も一緒に出たりしてたのであれですけど、誰というよりもみんな巧かったし、楽しかったですね」
その木村と染野と入れ替わる形で森田と見木が同じタイミングでピッチへ。木村が得たPKを香川真司が決めて2点差をつけるが、『J1 EAST』も15分に渡邊凌磨のゴールで追いつくと、背番号10が魅せる。
20分、自陣ボックス手前で濃野公人の短いパスを足元で受けた森田は鮮やかなターンでDF2枚を無効化し、狭いスペースを通す圧巻のショートパスを佐藤龍之介につなぐと、脇坂泰斗との中央でのパス交換で一気に中央をドリブルでこじ開けた青赤の若武者が圧巻のミドルシュートを突き刺し、土壇場での同点ゴールを奪取。この直後に2-2でタイムアップを迎え、その後のPK戦を4-3で制した『J1 EAST』が3位フィニッシュを決めた。