散々な出来も…森保Jに光明? 強豪国の中心選手に匹敵…経験を積ませるべき23歳日本人

 日本代表の米国遠征はメキシコに0-0、米国に0-2の1分1敗に終わった。これがW杯本大会だったらグループリーグ敗退寸前というところだろうか。 【写真】現役日本代表が交際宣言した元トップアイドル 「色気がすごーい」最新ショット  メキシコ戦の前半は素晴らしかった。30分間はハイプレスが効きまくっていて、技術の高いメキシコにこれだけやれるならW杯でも一部の強豪国を除けば通用するだろう。日本の武器だ。  ただし、ハイプレスを90分間続けるのは無理で、だいたい60分あたりで終息する。また、ハイプレス主体に試合を重ねていくのもW杯ではけっこう厳しい。  1994年W杯は来年と同じく米国開催だった。今回はカナダ、メキシコとの共催だが、米国大会は東側が酷く暑かった。94年大会の直前、オランダ代表からルート・フリットが離脱している。暑い米国ではプレッシングのスタイルは無謀だとフリットは主張し、当時の中心メンバーだったアヤックス勢と意見が対立。フリットはチームから離脱してしまったのだ。  結局オランダは準々決勝でブラジルに敗れるのだが、アヤックス流のハイテンポのサッカーはしていない。フリットを追い出すほどこだわっていた強度の高いスタイルは、やろうとしてもできなかったのだろう。  来年の北中米の気候がどうなるかは分からないが、歴代でも走りまくってW杯に優勝したチームは記憶にない。日本はハイプレスで大半の国に対して主導権を握れるかもしれないが、それだけで勝ち抜くのは厳しいだろう。実際、メキシコ戦でも攻勢の時間帯に得点できず引き分けた。  米国戦は中2日で長距離移動もあり、先発を全員入れ替えた。そうしたらメキシコ戦と違ってハイプレスもビルドアップは今一つで、主導権を握るどころか米国のペースになってしまっている。ハイプレス戦法のリスクが表れていた。

 ハイプレスはマンツーマンで人を抑えていくのが基本。前進守備なので圧力は強く、守備側に優位性はあるのだが、1対1で外されてしまうと玉突き的に崩れていく。1対1のバトルに勝つのが前提で、そこでやられてしまうとカウンターを食らってしまうのだ。米国戦はまさにそうなっていて、逆に日本のビルドアップが米国のハイプレスに食われてしまう場面も何度かあり、これでは主導権を取れるわけがなかった。  自ら課した負荷に負けてしまった格好だ。米国戦の先発陣には少し気の毒な結果かもしれない。DF陣に負傷者が続出、これまで一緒にプレーしてきたメンバーでもない。メキシコ戦とプレースタイルを揃えたがために墓穴を掘り、慣れないポジションで本領を発揮できなかった選手もいただろう。  さんざんな米国戦ではあったが、その中でも光明はあった。  際どいシュートを防ぎまくったGK大迫敬介は数少ない評価を上げた選手だ。もう1人上げるなら望月ヘンリー海輝。先制点を与えるきっかけとなった守備対応は大きな反省点だが、右ウイングバックとして攻撃力に可能性を示していた。  望月はオランダ代表のデンゼル・ドゥンフリースと似ていて、堂安律や伊東純也とはタイプの違うウイングバックである。大きなストライドで駆け上がり、柔らかいボールコントロールと独特の間合いのドリブル突破やキープ、トリッキーなプレーもできる。  ヘディングの強さは堂安、伊東にはない特徴で、相手のハイプレスでビルドアップが行き詰まったときの逃げ場になれる。所属の町田ゼルビアでも、望月へのロングボールとヘディングでのつなぎによるプレス回避は定番。米国戦でもこれでチャンスにつなげていた。  長身でスピードがあって上下動ができる。オランダ代表では右のドゥンフリースが重要な攻め手になっている。望月はタイプとしてよく似ているが、身長は192センチでドゥンフリースより4センチ高い。23歳という若さも今後の成長を期待できる。  まだ粗削りなのは確かだが、これからの1年で急速に成長していく可能性はありそうで、今後も経験を積ませるべき選手だろう。 [著者プロフィール] 西部謙司(にしべ・けんじ)/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、「サッカー日本代表戦術アナライズ」(カンゼン)、「戦術リストランテ」(ソル・メディア)など著書多数。

西部謙司 / Kenji Nishibe

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