【焦点】トランプ関税の影響、今週の指標で判明-通商環境「不確実」

今週の経済指標は、トランプ米大統領が4月2日に発表し、その後一時停止した上乗せ関税の影響を受ける主要経済国の現状を包括的に示す見通しだ。トランプ氏が決めた停止期間(90日)の中間点に差しかかるタイミングでの公表となる。

  中国が19日に4月の小売売上高や工業生産を発表し、22日には世界各国の購買担当者指数(PMI)が公表される。これらの指標は、米国が広範囲にわたり導入した関税政策が成長に与える影響を明らかにする。

  主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議も20日にカナダで始まる。共同声明に合意できるかどうかは、貿易摩擦を巡る総合的な展望を示唆し得る。

  欧州連合(EU)の欧州委員会は19日に経済予測を公表。週内には欧州中央銀行(ECB)が金融安定への影響を巡る分析を示す。

ゆがみ

  今週の各種報告・会合を通じ、トランプ氏による世界貿易システム再構築の試みによる衝撃が、どこまで広がっているかがある程度判明する。4月のPMIデータはすでに世界の成長が1年5カ月ぶりの水準に鈍化していることを示していた。

  中国の統計は4月分だが、S&Pグローバルが発表するPMIは5月分だ。オーストラリアや日本、ユーロ圏、英国、米国などの経済活動に対する初期的な調査を通じ、スイスでの米中協議後に合意された一部関税停止の影響を捉えられる。

  S&Pグローバルのエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏らはリポートで、「米中が課した関税が依然として残る中、国際貿易環境は引き続き非常に不確実で、これらの関税が世界の成長を抑制し、インフレを加速させると広く予想されている」と指摘した。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のクリス・コリンズ、アンナ・ウォン両エコノミストによると、「4月の輸入価格はこれまでのところ米国側が関税のコストの大半を負担し続けていることを示唆」している。

  「4月に貿易パターンがどのように変化したかについてはあまり分かっていないが、関税を除いた輸入価格指数は年初からほとんど変化していない」という。

  世界中で通商関係が依然として流動的であり、米国が関税水準を設定する交渉を行っている中で、トランプ政権の貿易政策に対する見通しだけでゆがみが生じている証拠がある。

  例えば、16日発表されたEUの対米輸出は3月に前年同月比59%急増し、トランプ氏の関税発表を控え企業が出荷を前倒ししたことが分かる。

  今週は米国の住宅データに加え、日本や英国、カナダなどのインフレ統計、豪州での利下げの可能性、そしてECBが公表する4月の政策委員会会合に関する議事要旨なども注目される。

原題:Trump’s Tariff Hiatus Midpoint to Show Unsettled World: Eco Week (抜粋)

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