マツダ、通期営業益予想は73%減の500億円 米関税圧迫も軽減狙う
5月時点では関税の影響が合理的に算出できないとして通期業績予想の開示を見送っていたが、今回は現時点で入手可能な情報や予測を踏まえて開示した。
会見した毛籠勝弘社長は、日米で合意した自動車関税15%は従来の2.5%からは上がるため「極めて負担に感じる」と指摘。「地域経済と雇用の責任を果たすべく、国内生産70万台基準で損益分岐点を下げる努力を続ける」と語った。
通期営業利益に対する関税影響額は、台数ベースで2333億円のマイナスと試算した。仕向け地の変更やコスト削減などで60%以上を相殺し、実質的な負担は1452億円に抑える。会見に同席したジェフリー・エイチ・ガイトン最高財務責任者(CFO)は、このほか米アラバマ工場の稼働率引き上げなどの生産調整も行い、関税の影響を軽減すると話した。
自働車関税の発動日は不明だが、日本から米国への輸出品にかかる税率は4月から7月まで27.5%、8月から来年3月まで15%を前提にして影響額を試算した。メキシコから米国への関税は25%を前提にしたが、ガイトンCFOによると、米国製部品の一部使用により実質的には23%程度になるという。
通期純利益は同82.5%減の200億円を見込む。配当予想は中間で1株25円(前年は25円)、期末(同30円)は引き続き未定。毛籠社長は、期末配当は「前年同等を念頭に置きつつ、業績のさらなる進捗を見極めた上で適切なタイミングで提案する」と述べた。
通期の世界販売は米国での減少をその他の市場で補い、前年並みの130万台を維持する。米国販売は「関税影響や米国経済の行方に少し懸念」(毛籠社長)があるとして、前年比3万5000台減の40万台を計画する。
25年4━6月期の連結営業損益は461億円の赤字(前年同期は503億円の黒字)だった。関税の影響は台数ベースで697億円だったが、固定費削減や関税影響を圧縮できる販売構成の変更などにより、実質的な負担額を496億円に抑えた。フリーキャッシュフローは968億円の赤字(同1057億円の黒字)だったが、通期で黒字化を目指す。
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