高校に放置されていた岩、実は2億年前の恐竜の足跡まみれだった

Image: University of Queensland

オーストラリア・クイーンズランド州のある高校に何十年も無造作に置かれていた岩が、オーストラリアで最も密集した恐竜の足跡が残されていたレアな岩だったことが明らかになりました。

「あの形はもしかすると恐竜の足跡なのでは? 」と考えられていたようですが、地域の人々は確信が持てなかったのだとか。

ところが、研究チームがこの岩を調査したところ、66もの恐竜の足跡が刻まれていることを突き止めました。

この発見は、2025年3月20日付の学術誌『Historical Biology』に発表されています。

どんな恐竜の足跡なの?

足跡の主は、小型の草食恐竜「アノモエプス・スカンブス(Anomoepus scambus)」と考えられています。この恐竜は長い脚と短い腕、くちばしを持ち、少しずんぐりとした体形をしていました。研究チームによると、恐竜たちは湿った粘土の上を時速6km以下で歩いていたと推測されています。

Image: University of Queensland恐竜の足跡がたくさん残る岩。

それにしても、なんでこんな貴重な岩がこの場所にあったのでしょう。

この岩は、約20年前にクイーンズランド州中央部の炭鉱で発見され、その後地元の高校に寄贈されました。しかし、長年誰にも注目されることなく校庭に放置されていたのです。

最近になり、今回研究を行なったチームが恐竜の足跡について研究していることを知った地域の人々が「もしかして」と考えて調査を依頼したそうです。

ほかにもあった「隠れた化石」

研究チームは同じ地域で別の恐竜の足跡も発見しました。驚くことに、そのうちの1つは鉱山の駐車場の境界石として使われていました。

The dinosaur footprints on a boulder in a parking lot. © University of Queensland

また、もう1つの標本は樹脂に包まれ、ブックエンドとして使われていたのです(なんという贅沢な使い方を…! )。

研究を主導したクイーンズランド大学のアンソニー・ロミリオ博士は、「貴重な化石が目の前にあっても、気づかれないことがよくあります。この恐竜の足跡も、ずっと高校に眠っていたなんて驚きです」と語っています。

恐竜の化石って私たちが想像している以上に身近に転がっているかもしれませんね…。家にある石を観察してみようかな。

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