インド、農家の利益で妥協せず 米関税の代償覚悟=モディ首相

 8月7日、インドのモディ首相(写真)は、トランプ米大統領がインドからの輸入品に50%の関税を課すと警告したことを受けて初めて公の場で発言し、「大きな代償を払うことになっても、国内農家の利益を犠牲にするつもりはない」と表明した。2月28日、ニューデリーで撮影(2025年 ロイター/Altaf Hussain)

[ニューデリー 7日 ロイター] - インドのモディ首相は7日、トランプ米大統領がインドからの輸入品に50%の関税を課すと警告したことを受けて初めて公の場で発言し、「大きな代償を払うことになっても、国内農家の利益を犠牲にするつもりはない」と表明した。

ニューデリーでのイベントで、「われわれにとって農家の生活の安定は最優先事項だ」と強調。「農家、酪農家、漁業従事者の健全な暮らしに関して決して妥協しない。そのためには大きな代償を払わなければならないことを承知している」と述べた。

トランプ氏は6日、インドがロシア産原油を輸入していることを理由に、インドからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名した。関税率はこれまでに発表していた25%の相互関税に上乗せされ、最大50%となる。
This bar chart displays U.S. President Donald Trump's tariff rates of top U.S. trading partners (as of Aug. 6)

インド外務省の経済関係部門高官ダム・ラビ氏は記者団に対し、「米国の関税引き上げには論理的な根拠がない」と指摘。これは一時的な異常事態であり、いずれ国際的な解決策が見いだされるとの見解を示した。

また価値観や立場の近い国々は互いの利益となる協力と経済関係を築こうとするだろうと語った。

モディ氏は7年以上ぶりとなる中国訪問の準備を進めている。一方、ブラジルのルラ大統領はモディ氏と習近平中国国家主席の両首脳と電話会談を行うと表明した。また米関税への対応について、新興国グループ「BRICS」諸国の間で協議を開始すると述べた。

インド国内ではモディ氏の支持者と野党の双方が米国の関税に断固として対応するよう求めている。最大野党・国民会議派のマリカルジュン・カルゲ総裁は、非同盟主義に基づく長年にわたる戦略的自立政策を理由に恣意的にインドを罰する国は、インドがどれほど強固な意志を持っているか理解していないと述べた。

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Manoj Kumar is a Senior Economics Correspondent based in New Delhi. He covers macroeconomy with a focus on India's economic policies for manufacturing, trade and the rural economy. He has written on a broad range of topics including India's annual budgets, taxation, inflation, youth unemployment, protests and the impact of government policies on people. Previously, he worked with the PTI news agency and The Tribune newspaper covering ministries of finance, commerce & industry, and petroleum besides parliament.

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