寄り添うように見える2つの銀河核。偶然が生んだ奇観【今日の宇宙画像】
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
この不思議な形状の銀河は、soraeが2021年4月30日の記事で紹介した銀河「Mrk 739(マーク739、またはマーカリアン739)」です。一見、一般的な銀河とは大きく異なる姿をしていますが、なぜこのような形状なのでしょうか?
- Image Credit: ESO/Tubín et al.
- sorae - 重なり合った銀河が描くスマイル。しし座の相互作用銀河「Mrk 739」
Mrk 739は「しし座」の方向、約4億3000万光年先に位置する相互作用銀河です。相互作用銀河とは、複数の銀河が接近または合体する際に潮汐力などによって大きく構造が変化する天体のことをいいます。
Mrk 739の場合、画像左側の楕円銀河「Mrk 739E」と右側の棒渦巻銀河「Mrk 739W」が衝突・合体の初期段階にあると考えられています。まるで“目”のように並ぶ2つの明るい銀河核が確認できますが、実際には完全に横並びというわけではありません。よく見ると、Mrk 739Wの棒状構造が手前に位置しているなど、立体的な奥行きが感じられます。
つまり、地球から観測する視点により、“偶然このような姿に見えている”というわけです。なお、Mrk 739はsoraeがこれまでに紹介してきた多くの相互作用銀河の中でも珍しく、寄り添うように並んでいる2つの活動銀河核と、それを包むような渦状腕の構造が魅力的で興味深い銀河といえます。