井上尚弥のラスベガス防衛戦 行きつけ焼き肉店シェフ帯同は「予行演習」
◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)王座統一戦12回戦 井上尚弥―ラモン・カルデナス(4日=日本時間5日、米国ネバダ州ラスベガス T―モバイル・アリーナ) 【ラスベガス(米ネバダ州)3日(日本時間4日)=勝田成紀】世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥が、カジノ&ホテル「MGMグランド」で前日計量に臨み、挑戦者のWBA世界同級1位ラモン・カルデナスとともに55・2キロでクリア。21年6月以来3度目のラスベガスでの試合で「日本で見せているパフォーマンスをお届けする」と誓った。計量後にはバンタム級時代に2度対戦した元5階級制覇王者ノニト・ドネア(42)=フィリピン=と再会。改めて5階級制覇の目標を掲げた。 計量をクリアした尚弥は、マッスルポーズで鍛え上げた肉体を披露した。フェースオフは互いに表情を変えず13秒。先に視線が泳いだのはカルデナスだった。大橋ジムの大橋秀行会長(60)は「今回は特にすごいよ。毎回過去イチって言ってるけど、本当に過去イチなんだよね」と仕上がりに太鼓判を押した。 米国らしい派手な演出だった。計量会場にはレーザー光線が飛び交い、限定200人に公開。会場に入れなかったファンが、モンスターをひと目見ようと会場外にも長い行列をつくった。尚弥は「一つのイベントとして、全く日本とは別物」と話したが、リング上では日本流を貫く。「ラスベガスだからこういう(特別な)試合をする、ではなく、求められているのは日本でやっているパフォーマンス。いつも通り平常心で戦う。ここは日本だという気持ちで、日本で見せているパフォーマンスをお届けします」と力強く約束した。 計量後は、ドネアがゲストを務める放送席でインタビューを受けた。ドネアが「キャリアがどこまで伸びるか楽しみ」と話すと、尚弥は「ノニトとの試合がキャリアの中で一つの分岐点となった。ありがとうと伝えたい」とドネアの肩をたたいて握手。「ガンバッテ」と激励され、肩を組んで2ショット写真に納まった。 「最終目標として1つ上のフェザー級はチャレンジしていきたい」とドネアら歴代7人が達成している5階級制覇にも言及。12月にはサウジアラビアでWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)への挑戦を計画している。ラスベガスには、行きつけの焼き肉店のオーナーシェフが帯同。「サウジで試合する時の予行演習という意味でも来てもらっている」と今後も見据えていることを明かした。 4度目の4団体統一王座防衛に成功すれば歴代最多記録に並び、KO防衛なら歴代単独最多の世界戦23KOとなる。歴史的記録を懸け、1415日ぶりのラスベガスのリングに上がる。 ◆尚弥がカルデナス戦で挑む記録 ▽4団体統一王座防衛 歴代最多は現世界スーパーミドル級3団体統一王者サウル・“カネロ”アルバレス(メキシコ)の4回。尚弥は単独2位の3回。勝てば最多タイとなる。 ▽世界戦KO勝利 歴代最多は尚弥と元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)の22。KO防衛なら単独最多に。 ▽世界戦連勝 歴代最多はジョー・ルイスと元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)の26。尚弥は勝てば元世界3階級制覇王者フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)らに並び、25で3位となる。 ▽世界戦勝利 歴代最多はチャベスの31。尚弥は24で9位タイ。勝てば5位タイとなる。 「ベットMGM」1.01倍 〇…計量では、各選手が体重計に乗るたびに、選手の前の電光掲示板にスポンサーの米ブックメーカー「ドラフトキングス」の勝利オッズが表示された。尚弥はマイナス5000(1.02倍)、カルデナスはプラス1500(16倍)だった。計量会場にもなったMGMグランドの「ベットMGM」のオッズは、尚弥がマイナス10000(1.01倍)で、カルデナスは+1200(13倍)。いずれも尚弥の勝利は、ほぼ“元返し”レベルの鉄板予想だ。 ラモン・カルデナス「すべてを勝ち取るためにここにいる。失うものは何もない。この戦いに勝てば、大きな注目を集めることができる。ボクシングの素晴らしいところは、ある日から次の伝説が生まれることだ」
報知新聞社