カナダ中銀0.25%利下げ、トランプ関税で「新たな危機」と警鐘

カナダ銀行(中央銀行)は12日、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げ2.75%とした。2024年12月撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)

[オタワ 12日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は12日、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げ2.75%とした。利下げは7会合連続。トランプ米大統領が打ち出す関税による経済への影響を踏まえ、「新たな危機」に直面していると警告した。

さらに、コスト拡大によるインフレ押し上げ圧力と需要押し下げ圧力双方を精査する必要があるため、今後の金利の「変更については慎重に進める」とした。

9カ月間で政策金利は合計2.25%ポイント引き下げられ、同中銀は世界で最も積極的な中央銀行の一つとなった。ただ一部エコノミストは、中銀が示したスタンスを踏まえると、金利はこれ以上低下しない可能性があるとの見方を示している。

マックレム総裁は記者会見で「経済は2024年を堅調な足取りで終えたが、ここに来て新たな危機に直面している」とし、「米国による新たな関税の規模と期間によっては、経済への影響は深刻になる可能性がある。不確実性だけでもすでに悪影響を引き起こしている」と述べた。

さらに「金融政策は貿易戦争の影響を相殺することはできない」とし、金融政策によって対処する必要があるのは「物価上昇が継続的なインフレにつながらないようにすることだ」とした。

トランプ米大統領による対カナダ関税の脅威は、企業の不安感を高め、消費者の信頼を揺るがし、設備投資に打撃を与えている。

同中銀は、関税戦争が長引けば国内総生産(GDP)成長率の低下と物価高につながり、金利を上げるか下げるかの判断が難しくなると指摘した。

マックレム氏は、政策金利を決定する際は、経済の弱体化によるインフレ下押し圧力とコスト上昇によるインフレ上昇圧力の双方について、時期と強さを検証することに重点を置くと表明。貿易紛争により第1・四半期GDP成長が減速し、雇用市場の回復が阻害される可能性があると述べ、関税が物価に及ぼす影響への懸念からすでに短期的なインフレ期待が高まっていると付け加えた。

ただ、金利の今後の方向性について具体的な指針は示さなかった。

期間限定の消費税減税が終了するため、インフレ率は1月の1.9%から3月には2.5%程度に上昇すると予想されている。

カナダは12日、トランプ米大統領が発動した鉄鋼・アルミニウム関税への対抗措置として、米国からの輸入品に対し298億カナダドル相当の報復関税を課すと発表した。13日に発効する。 もっと見る

外為市場では、4月16日の次回政策決定で0.25%ポイントの追加利下げが行われる可能性は45%程度とみられている。

一部エコノミストは、総裁の発言はタカ派的だとみている。さらなる政策変更は消費者物価(CPI)が貿易戦争にどう反応するか次第かもしれないと述べた。

デジャルダン・グループのマクロ戦略責任者ロイス・メンデス氏は、中銀がインフレ期待の上昇に焦点を当てていることは、ややタカ派的であることを示しているとし、「4月の利下げは中期および長期のインフレ期待が安定し続けるかどうかにかかっている」と語った。

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