ひとり親家庭や児童養護施設のこどもたちを救いたい。Bリーグのプロバスケ選手の決意と行動(FRaU編集部)
8月31日の「24時間テレビ」で注目を集めた、SUPER EIGHTの横山裕さん。貧窮問題の周知を掲げ「子どもマラソン支援募金」と題した募金を実施、44歳にして108キロの道のりを完走した。
横山さんが幼い時に離婚し、弟さんは児童養護施設に預けられたこともあるという。その後病気で天国に旅立ったときは、ライブの当日で、「オニギシ」という、母親のことを描いた歌を歌う時には泣き崩れてしまったということも明かしていた。
横山さんは走る前にシングルマザー家庭や児童養護施設も取材で訪れていた。そこで改めて伝えられたのは、こどもの9人に1人が貧困状況にあるという現実だ。養育費の未払い、幼いこどもを抱えての就職の困難、男女賃金格差……。その現実を伝えて改善したい。そういう横山さんの思いが、7億円を超える募金につながったのだろう。
やはりひとり親家庭に育ち、ひとり親家庭や児童養護施設のこどもたちを救いたいと行動しているのが、現在Bリーグ「佐賀バルーナーズ」に所属する内尾聡理選手だ。内尾選手は千葉ジェッツ時代に児童養護施設の訪問をし、ファイティングイーグルス名古屋に所属時代に「S.U future」という社会貢献活動(子ども支援)プロジェクトを立ち上げた。ルミエプラスというメーカーと洗顔フォームのコラボレーションを行い、特別仕様で販売した洗顔フォームの売り上げをひとり親家庭の子ども支援に充てつつ、親子料理教室に招くイベントも実施。また、先日は熊本県にある「こども第三の居場所COCO-Z(ここーず)」と名付けられた児童養護施設でこどもたちと触れ合った。
「こどもたちのために何かしたい」という内尾選手がもうひとつ関わっているのが「FRaU SDGs edu こどもプレゼン・コンテスト」だ。小学生から高校生を対象に、「2030年に創造したい未来」をテーマにこどもたちの自由なアイデアを募集するもの。イマジネーション(想像力)、オリジナリティ、パッション(情熱)の3つの視点で9名の審査員により採点をし、大賞賞金は10万円となる。内尾選手は2024年からコンテストの審査員として参加しているのだ。
FRaU SDGs edu こどもプレゼン・コンテストの審査員の方々そんな内尾選手に、これまで起こしてきた行動について聞いた。
内尾聡理(うちお・そうり)は2001年4月12日生まれ、福岡県出身。184cm、84kg、PG/SG。小学1年で小倉ミニバスでバスケットボールを始める。福岡第一高校ではインターハイ、ウインターカップを制覇。中央大学でもキャプテンを務め、4年時に千葉ジェッツへ特別指定選手として加入。現在は佐賀バルーナーズ所属。ひとり親家庭で育った経験から子ども支援プロジェクト S.U future を立ち上げ、化粧品会社とのチャリティや子ども料理教室、熊本「子ども第三の居場所」訪問などを展開。2025年9月1日にオンラインショップを開設し、売上を子ども支援に充てている。
ひとり親家庭で育ちました
――内尾さんは以前から児童養護施設に訪問して子どもたちとふれあう活動をしていらっしゃいました。それをはじめようと思ったのはなぜですか。
内尾:僕自身ひとり親家庭で育ち、多くの方々に支えられて今があります。だからこそ、支えを必要としている子どもたちの存在を知ったとき、プロバスケットボール選手として自分にもできることがあるのではないかと考えました。
自分がいただいた恩を、次の世代へとつないでいきたいそれが、この活動を始めるきっかけです。
――2024年11月に「S.U future」を立ち上げました。どのような活動をしたくて立ち上げたのでしょうか。また、バスケットボール選手として活動しながらプロジェクトの準備はどうやって進めたのですか?
内尾:「Shoot for the Unlimited Future=追い求める目標には無限の可能性が詰まっている」という想いを形にしたのが S.U future です。バスケットの練習や試合の合間にも準備を重ね、信頼できる仲間や支援者と一緒に具体的なプロジェクトを組み立てました。プロ選手としての姿を見せつつ、その影響力を子ども支援に直結させたいと考えています。
この活動を通して少しでも支援の輪が広がってほしいと思います。
熊本の「こども第三の居場所COCO-Z」にて 写真提供/内尾聡理