ブリンケン米国務長官が訪日、日鉄のUSスチール買収阻止が影
対米投資も冷え込む可能性があるが、アナリストによれば、中国に対する安全保障上の懸念を共有しているため、日米関係全体へのダメージは限定的なものになりそうだ。
ブリンケン氏は岩屋氏に対し、過去4年間の数多くの日本訪問が米国の米日パートナーシップ重視姿勢を示しているとした上で「それを強調するためにバイデン大統領はこの最後の訪問を実施するよう私に指示した」と説明。「両国間には2国間の問題に焦点を当てることから始まり、地域だけでなく、今ではグローバルな影響を及ぼすパートナーシップがある」と語った。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の日本専門家、ニコラス・セーチェーニ氏は、バイデン氏の決定はブリンケン氏の東京訪問を「気まずい」ものにするだろうとしつつ、「日本は日鉄を巡る決定で日米関係を悪化させるようなことはしないだろう。日本の国家安全保障にとって米国との関係があまりにも重要だからだ」と述べた。
ある日本の外交官はロイターに対し、バイデン氏の決定は海外からの直接投資を冷え込ませる可能性があるとしながらも、トランプ次期米大統領との力強い関係の再構築に重点を置き、ワシントンで高まっている中国へのタカ派的なムードを利用しながら、緊密な日米関係が続くことを望んでいると語った。
ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネスのマーク・ブッシュ研究員は、重要分野で中国の支配や競争に直面する中、同盟国と協力して強靭なサプライチェーン(供給網)を構築しようとする米国の取り組みに「大きな影響」が及ぶ可能性があると指摘する。
「日本などの同盟国は政治的に敏感な米国のサプライチェーンへの投資や提携に疑問を持つだろう。中国はこれ以上の結果は望めないと、クスクス笑っているに違いない」と話した。
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