「建国の英雄の娘」ハシナ前首相はなぜ非情な独裁者に成り果てたのか

「建国の英雄」でハシナの父でもあるシェイク・ムジブル・ラーマンのポスター。以前は街の至るところに貼られていたが、政変後、その多くがはがされたPhoto: Atul Loke/The New York Times

Text by Text by Mujib Mashal and Shayeza Walid Photographs by Atul Loke

バングラデシュは、傍目には奇跡的な経済発展を遂げた国に見える。 衣料品の輸出産業の成長により、数百万人が貧困から脱した。シェイク・ハシナ前首相は、力強く安定した国政のかじ取りで称賛を集めた。 だが、水面下には暗い流れが渦巻いていた。
バングラデシュは、2度にわたる流血の独立戦争(1947年にパキスタンがインドから独立。バングラデシュはそのパキスタンから1971年に独立した)を経て誕生した。 この国が50年間、政治的暴力と復讐の連鎖から抜け出せないのは、トラウマ的なその歴史に原因がある。

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