米FBI長官、イランの脅威追跡する防諜部隊を解雇していた 米国の攻撃の数日前にと情報筋
米ワシントンの司法省の建物に設置されたトランプ大統領の垂れ幕/Annabelle Gordon/Sipa USA/AP/File via CNN Newsource
(CNN) 米国がイランで大規模な軍事作戦を開始するほんの数日前、連邦捜査局(FBI)のパテル長官が、イランの脅威を監視する任務を負う防諜(ぼうちょう)部隊から、捜査官と職員10人以上を解雇していたことが分かった。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。
解雇の理由は単純だ。彼らは皆、トランプ大統領が自身のフロリダ州の邸宅マール・ア・ラーゴに機密文書を保管していた疑惑の捜査に関与していた。
解雇の結果、パテル氏は首都ワシントンに拠点を置く当該の防諜部隊「CI-12」の活動能力を著しく低下させた。同部隊は機密文書の不適切な取り扱いから、米国内で活動する外国スパイの追跡まで、幅広い事案を扱っている。
事情に詳しい複数の関係者によると、今回の解雇は司法省とFBI内部の懸念をさらに強めている。イランでの軍事作戦後の対テロ捜査や諜報(ちょうほう)活動が、国家安全保障の専門家を大量に失うことによって阻害される恐れがあるためだ。
またCI-12部隊と同様、トランプ氏関連の捜査に関与したとして、複数の上級職員も解任または異動されたと関係者は述べている。こうした人事異動により、司法省とFBIは数十年にわたって積み上げてきた経験を失うことになった。具体的には軍事作戦後に出現する可能性のある脅威の種類を見極める経験だという。
司法省は現時点でコメント要請に応じていない。FBIは人事問題についてはコメントを控えたが、CNNへの声明で「全米各地に人員を配置し、強力な対諜報活動を維持している」と述べた。
CI-12部隊の職員が先週の解雇の対象になったことは、ニューヨーク・サン紙が最初に報じた。
イランの脅威
トランプ政権1期目の任期中、CI-12はイラン政権からの潜在的な脅威を追跡する上で重要な役割を果たした。当時イラン側は、2020年のドローン(無人機)攻撃によって革命防衛隊の精鋭、コッズ部隊を率いていたガセム・ソレイマニ司令官が殺害されたことに対し、報復措置に出る可能性があった。
その後、イランの援助を受けた複数の人物が米当局者の暗殺を企てたとして訴追されている。暗殺の標的になったのはソレイマニ氏殺害に責任があるとイラン側が判断した当局者らで、トランプ大統領や国務長官だったマイク・ポンペオ氏、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったジョン・ボルトン氏などが含まれる。
ある関係者がCNNに語ったところによれば、今回のイランへの攻撃開始以降、脅威が増加したり、「潜伏工作員」が活動を開始したりしたことを示す兆候は現時点で何もない。それでも国内の法執行機関は、海外での軍事紛争後の一般的な措置として、脅威に対する監視を強化している。
人員が半減
司法省の捜査官と検察官は数十年にわたり、米国内におけるイラン支援勢力による脅威、とりわけイラン政権による暗殺や誘拐計画の傾向を特定し、阻止するために尽力してきた。
しかし、CI-12と同様に、こうした外国の脅威を監視する司法省のチームは、トランプ政権発足以来、解雇や辞任の波によって壊滅的な打撃を受けている。専門家は、最善の努力にもかかわらず、司法省が将来の攻撃に対処する準備ができていない可能性があると懸念している。
司法省国家安全保障局の多くの部署で職員の少なくとも半数が解雇されたと、事情に詳しい関係者がCNNに語った。テロ対策専門部署もその一つだ。また、対諜報活動や国際テロ対策を監督していたFBIの高官も解雇された。
「人員の半分を失えば、実力も半分失われる」と、司法省の元高官は国家安全保障を担当するチームについてCNNに語った。「それ自体が懸念の理由になる」