4人の大統領が使用した「エアフォースワン」の内部を見てみよう
アメリカの大統領は1959年から1998年にかけてこのエアフォースワン(大統領専用機)を使用した。
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- アメリカの歴代大統領アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンは、専用機エアフォースワン「SAM 970」を使用した。
- これは、初めてジェットエンジンを搭載した大統領専用機であり、執務室や核兵器発射コードを保管する金庫などを備えていた。
- 1959年から1996年まで使用された退役機は、シアトル航空博物館に展示されている。
1959年、ドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)大統領は当時最新のエアフォースワンに搭乗し、ジェット機を利用した初のアメリカ大統領となった。
「SAM 970(Special Air Missions:特別空輸任務機)」として知られるこのジェット機は、大統領とホワイトハウスのスタッフのニーズに合わせてカスタマイズされ、機内には、大統領専用の居室、会議室、報道関係者用の座席、さらに核兵器発射コードを保管するための金庫が備えられていた。
1996年に退役したSAM 970は現在、シアトル航空博物館に保管されている。筆者は7月に博物館を訪れ、かつての大統領がこのエアフォースワンでどのように旅したのかを見てきた。
その時の様子を紹介する。
4人の歴代アメリカ大統領が「SAM 970」に搭乗した
エアフォースワン「SAM 970」。1974年撮影。
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1959年、それまでドワイト・アイゼンハワー大統領が使用していたプロペラ機「C-121Cスーパーコンステレーション」に代わり、ボーイング707-153をカスタマイズしたVC-137シリーズのひとつである「SAM 970」が大統領専用機となった。
SAM 970はアイゼンハワー大統領のほか、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)大統領、リンドン・ジョンソン(Lyndon Johnson)大統領、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領も使用した。
1962年、新型の「VC-137C」が新たな大統領専用機となったが、SAM 970はその後も副大統領や他の要人の輸送に使用され、1996年まで大統領機の一部として運用されていた。
退役した機体はシアトル航空博物館に展示されている
シアトル航空博物館に展示されているエアフォースワン。
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博物館の入場料は大人1人26ドルで、博物館の公式サイトで購入できる。
機体の手前には、ニクソン大統領と中国の周恩来首相マネキンが展示され、両首脳が握手を交わす場面が再現されている
リチャード・ニクソン大統領と中国の周恩来首相のマネキン。
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ニクソン大統領は1972年にエアフォースワンで中国を訪問し、在職中に中国本土を訪問した初めてのアメリカ大統領となった。
コックピットには、パイロット、副操縦士、フライトエンジニアの座席の他に、ゲストや補助クルーのための座席もあった
エアフォースワンのコックピット。
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この機体の最高速度は時速950kmだったが、現在のエアフォースワンの最高速度は時速1014kmに達している。
機内の通信ステーションには、当時最先端の無線や通信機器が設置されていた
通信ステーション。
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大統領は飛行機からホワイトハウスの危機管理室や国家軍事司令センターに連絡を取り、秘密のメッセージを送ることができた。
通信ステーションの向かいのスペースに置かれた金庫には、核兵器発射コードが入ったブリーフケースが保管されていた
右側が通信ステーションで、左側が金庫のあるスペース。
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「核のフットボール」と呼ばれるこのブリーフケースは、アイゼンハワー大統領以来、すべての大統領が常に携帯していた。
金庫には軍事通信センターのコードも保管されていた。
機体前方のギャレーでは、クルーが大統領や他のスタッフのために食べ物や飲み物を用意していた
機体前方のギャレー。
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エアフォースワンの2つのギャレーには、オーブン、冷蔵庫、ガスコンロが備えられていた。ドリンクディスペンサーもあり、コーヒーや水などが提供されていた。
乗務員室の電話には、機密情報を話さないよう警告が記されていた
乗務員室の電話。
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電話の上のプレートには「注意。この電話にセキュリティ機能はない。機密情報やセンシティブな内容は話さないように」と記されていた。
会議室へと続く細い廊下
エアフォースワンの廊下。
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大統領はエアフォースワンで移動中にスタッフと面会し、ブリーフィングを受け、電話を取ることができたため、この飛行機は「空飛ぶ大統領執務室(オーバルオフィス)」と呼ばれるようになった。
ジョンソン大統領は機内の室温についてよく不満をもらしていたため、その不満をなだめるために偽の室温調整ダイヤルが追加で設置された
大統領専用居室に設置された偽の室温調整ダイヤル。
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航空博物館のガイドによると、ジョンソン大統領が偽の室温調整ダイヤルを回すと機長に通知が届き、機長は室温を変えるかそのままにしておくかを決めることができたという。
ジョンソン大統領は、元気いっぱいのビーグル犬と搭乗することがあったため、大統領専用居室に犬用ドアを設置した
犬用ドア。
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ビーグル犬は、会議室に長時間放置されていると、よく遠吠えをしていたという。
大統領専用居室には専用のバスルームがあった
大統領専用のバスルーム。
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大統領専用のバスルームは、乗務員や報道関係者が使用するトイレよりもはるかに広々としていた。
大統領会議室は、大人数での会議でも十分なスペースが確保されていた
大統領会議室。
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座席には、乱気流に備えてシートベルトが備えられていた。
大統領と同行したホワイトハウスのスタッフや閣僚は、スタッフ用の座席に座った
スタッフ用の座席。
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広々とした4人掛け座席には、中央にテーブルが設置されていた。
秘書が仕事をできるように、専用の作業スペースも設けられていた
秘書専用の作業スペース。
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作業スペースには照明とタイプライターが備え付けられていた
報道関係者は機体後方の座席に座っていた
機体後方の座席。
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報道関係者用の座席エリアは、通常のエコノミークラスの座席によく似ている。
機体後方のギャレーでは、シニアスタッフと報道関係者に提供する食べ物や飲み物を用意していた
機体後方のギャレー。
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前方のギャレーと同様に、後部のギャレーにもキッチン設備とドリンクディスペンサーが備え付けられていた。
尾翼にはアメリカの国旗がペイントされていた
「SAM 970」とも呼ばれるエアフォースワン。
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ファーストレディだったジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)が、エアフォースワンの青、白、メタリックの配色を選んだ。
ドナルド・トランプ次期大統領は、2019年に就任した際、新たな配色として赤、白、紺を提案したが、濃い色はコストがかかり、過熱の問題を引き起こす可能性があるため、空軍は彼のデザインを却下した。