戦う相手を選ぶべきだった―角田裕毅との接触を経てサインツ反省、新天地ウィリアムズでの現実と適応

カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は、2025年F1第4戦バーレーンGPでの角田裕毅(レッドブル)との接触を受け、自身のレース感覚を見直す必要があると感じている。現在所属する中団チームにおいては、フェラーリ時代に培ったトップ争いを前提としたアプローチが、常に最善とは限らないという現実を受け入れつつあるようだ。

バーレーンGPのレース中盤、、6位争いを繰り広げていた角田とサインツはターン1で接触。このアクシデントにより、サインツはサイドポッドとフロアにダメージを負い、チェッカーを受けることなくガレージにクルマを入れた。開幕オーストラリアGPに続く、今季2回目のリタイヤだった。

昨年までのフェラーリ時代には、毎戦上位争いを繰り広げていたサインツだが、現在所属するのは中団チームのウィリアムズ。1週間前のインシデントを経て、状況に応じてバトルすべき相手を見極める必要があったと感じている。

第5戦サウジアラビアGPの開幕を翌日に控えたジェッダでサインツは、「ペースにはすごく満足していたし、ドライビングやセットアップ面でも一歩前進できていた。クルマの競争力も感じていただけに、ポイントを取り逃したのは本当に悔しかった」と振り返った。

角田との接触については、「時間をおいて冷静に振り返って見ても、リアを失ったユーキが僕のクルマにぶつかってきた件については、他に何かできたとは思わない」としつつも、「レース運びという点では、もう少し上手くやるべきだったかもしれない」と自己分析を加えた。

「昨年まではアグレッシブに戦ってきたけど、今年はメルセデス、フェラーリ、レッドブルといったチームに対しては、少し現実的に考えて、ああいった場面では道を譲るべきかもしれない(苦笑)。特に、バーレーンのようにオーバーテイクがしやすいサーキットではね。どうせ抜かれるだろうから」

「鈴鹿やモナコのように抜きにくいサーキットでは、ポジションを守るために戦うべきだけど、バーレーンみたいなコースでは、ポイントを確実に獲得するために、もう少し賢く立ち回る必要があるかもしれない」

今季ここまでの戦績では、チームメイトのアレックス・アルボンが開幕4戦で18ポイントを獲得している一方、サインツはわずか1ポイントと、その差は歴然としている。

だが、これまでにトロ・ロッソ、ルノー、マクラーレン、フェラーリ、そしてウィリアムズと、5チームを渡り歩き、激しい生存競争が繰り広げられるF1という過酷な世界で生き残ってきたサインツは、新天地への適応に時間がかかるのは当然だと強調する。

「今シーズンの最初の3分の1くらいは、こういう展開もある程度は避けられないと思っている。前半戦の間は、クルマのパフォーマンスをしっかり引き出せる週末もあれば、そうでない週末もあるはずだ」

「今はドライビングスタイルやセットアップ、クルマへの理解といったすべてを、自分に合うよう調整しているところだからね」

「新しいチームに移籍すれば、試行錯誤の期間が必要になるのは当然だ。いい週末もあれば、そうじゃない週末もある。とにかく、できるだけ多くのことを吸収しようとしている」

「簡単なことじゃない。どんなドライバーであってもチームを変えれば、それに適応するまでに時間がかかる。だからこそ、焦らずに自分のペースで一歩ずつ進んでいきたい。波はあるけど、確実に正しい方向に進んでいると感じている」

F1サウジアラビアGP特集

関連記事: