ソニーGが半導体子会社のスピンオフ上場検討、金融事業に続き-関係者

田村康剛、古川有希

  • 「パーシャルスピンオフ」で一部株式を継続保有、迅速な経営目指す
  • 半導体事業は過去にアクティビストのサード・ポイントが分離要求も

ソニーグループが半導体子会社、ソニーセミコンダクタソリューションズの株式上場を前提としたスピンオフ(分離・独立)を検討していることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同じ方針を打ち出している金融事業と同様にソニーGが一部の株式を保有し続けるという。

  関係者らによると、年内にも上場する可能性がある。親会社が子会社の一部株式を保有し続けられる「パーシャルスピンオフ」と呼ばれる手法の活用を考えていると、関係者の1人は述べた。

  ソニーGの半導体事業はスマートフォン向けなどの画像センサーが主力で、同製品の世界シェアは過半数を占めるが、優位性を維持するには大規模な投資を迅速に行い続ける必要性がある。事業をスピンオフすることで、機動的な経営判断や資金調達がしやすくなる可能性がある。

  ただ、トランプ米大統領が多くの貿易相手国を対象とした関税政策や対中輸出規制強化策を発表する中、半導体業界は不透明感を増している。株式市場も荒れる中、予定通りにならないこともあり得ると関係者の1人は述べた。

  ソニーセミコンダクタソリューションズの広報担当は臆測に対するコメントは控えると述べた。ソニーグループの広報担当はコメントを控えた。

  パーシャルスピンオフは、2023年度の税制改正で認められた制度で、親会社が子会社の一部株式を保有し続けることができ、一定の条件を満たせば税制面での優遇を得られるなどのメリットがある。

  ソニーGは昨年5月、20年に完全子会社化した金融子会社のソニーフィナンシャルグループをパーシャルスピンオフする方針を発表。今年10月にソニーFGの株式80%超を現物配当で株主に分配して同社を部分的に売却し、同社の持ち株比率を20%未満に引き下げる計画を示していた。

  ソニーGは近年、ゲームや音楽事業が好業績をけん引しており、コンテンツの知的財産(IP)の買収を進めるなどエンターテインメント関連を強化している。一方、半導体事業の製品はデジタルカメラや家庭用ゲーム機「プレイステーション」など自社製品にも使われており、ソニーGの成長にとって重要な事業だ。

  半導体事業を巡っては19年に米ファンドのサード・ポイントが同事業の分離を要求したが、ソニーGは同事業が成長をけん引する重要な事業の一つで、他の事業や人材との協業により今後さらに大きな価値創出が期待できるなどとして今後も保有し続けると発表していた。

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