オフィスソフトはMicrosoftとGoogleの二択じゃない。アップデートで化けた「ONLYOFFICE Docs」の実力
ONLYOFFICE Docs 9.0は、Markdown (.md) ファイルのサポートを追加することで、クロスプラットフォーム(プラットフォームをまたぐ作業)およびマルチフォーマットのユーザビリティを向上させています。 これは、開発者、ライター、およびプレーンテキスト環境で作業するすべての人にとってうれしいアップデート。 そのほか、Excelバイナリワークブック(.xlsb)が事前変換不要で編集可能になり、Visioファイルのサポート強化や、オープンドキュメントフォーマットの互換性拡大なども追加されています。 こうした改善により、多様な文書を管理するプロフェッショナルにとって、より柔軟性の高いプラットフォームとなりました。
Docs 9.0は、見た目の改善だけでなく、よりスマートに作業を進めるための機能も提供します。 新たに搭載されたAI機能により、特にスプレッドシートとマクロにおいて自動化が進みました。これらのツールは、通常は手作業が必要なワークフローを簡素化するように設計されています。 スプレッドシートでは、AIが、数式を適用したり、データの傾向を分析したり、問題の核心をより速く見抜いたりする手助けをします。 マクロのサポートでは、AIによる作成支援とVBA変換がサポートされており、ユーザーはプログラミングの深い知識を必要とせずに自動化を構築できるように。 大規模なデータセットや定型的な計算を扱うチームにとって、これらの機能は、煩わしい作業を大幅に削減できるメリットがあります。
今回のリリースでは、PDFエディタも大幅にアップグレードされています。 PDFフォームをリアルタイムで共同編集できるようになったため、チームの各メンバーが協力してフォームを記入したりデザインしたりできるようになりました。 この「共同PDFフォームエディタ」は、税務書類、人事関連書類、法的契約書など、複数人の入力が求められる文書に特に役立ちます。 さらにDocs 9.0では、「サムネイルパネル」でページをドラッグ&ドロップで並べ替えたり、「ページコピーショートカット」でページを複製したりできるようになり、文書構造をより柔軟に管理することが可能。 これらの機能を組み合わせることで、PDFの操作は、Wordデータとほぼ同じくらいシームレスになります。
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「ドキュメントエディタ」では、ツールバーからワンクリックで段落罫線を適用できるようになりました。 「コンテンツコントロール」も改善され、変更点の視覚的な追跡や、カスタムプラグインボタンのサポートが強化されたほか、インタラクティブ性と視認性が向上。 プレゼンテーション作成者は、Docs 9.0が、RTL(右横書き)言語に最適な段落方向制御のサポートや、「スライドショーモード」中に適切に表示される、より高度なテキストアニメーションを採用していることに気づくでしょう。 これにより、多言語環境での柔軟性が高まり、より洗練されたビジュアルを提供できます。
ONLYOFFICEは、オープンソースの精神に基づき、アクセシビリティとローカライゼーションを優先し続けてきました。 Docs 9.0では、アラビア語やヘブライ語などの、右から左に書かれる(RTL)言語向けの改善も行われています。 ツールバーから段落方向を設定できるようになり、カーソルナビゲーションの利便性が向上し、RTLレイアウトでの境界線が正確にレンダリングされるように。 新たな言語関連サポートとして、ウルドゥー語や、追加のアラビア語スペルチェック辞書が追加され、簡体字中国語インターフェースのフォント設定も強化されています。 また、サーバー管理者はカスタム辞書のアップロードもできるようになり、組織の特定のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。
すべてのエディタで、「上/下」バーや、スタイリッシュな「WordArt」キャプションなどの新しいオプションが追加されており、チャートツールがより高機能になりました。 これらの機能により、データを明確に伝える、視覚的に魅力的なグラフの作成も簡単になったのです。 スプレッドシートでは、非同期計算のサポートにより、複雑なカスタム関数をより効率的に処理できます。また、新たに外部スプレッドシートからデータを取得するオプションが追加され、Docs 9.0は軽量なデータ統合ツールとしてもより強力になりました。
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ONLYOFFICEは、モバイルユーザーとデスクトップユーザーを置き去りにはしませんでした。 iOSおよびAndroid向けのモバイルアプリであっても、Markdownファイルを開いたり、画像内のAIベースのテキストを認識したりできるようになり、外出先でもより自由に作業できるようになったのです。 デスクトップ版エディタにも新機能が追加され、AIサポート、ダイアグラムビューア、そして再設計されたインターフェースを利用できるようになりました。 セルフホストであれ、デスクトップとモバイルを両方利用するのであれ、Docs 9.0はプラットフォーム間の一貫性を目指しています。 ONLYOFFICE Docs 9.0は現在、自社インフラでソフトウェアを運用したい組織やユーザー向けの、セルフホスト版が利用可能です。 クラウドプラットフォームを利用しているユーザー向けには、近日中にアップデートが配信される予定。このアプローチにより、企業やプライバシーを重視するユーザーは、新機能の導入タイミングや方法をより細かくコントロールできます。 Docs 9.0には、ONLYOFFICEが、真に信頼できる生産性スイートとなるべく真剣に取り組んでいる姿勢が示されています。 洗練されたデザイン、拡張された互換性、協働的なワークフロー、そしてインテリジェントな自動化を組み合わせることで、このプラットフォームは、従来のオフィスソフトウェアに対する魅力的な代替手段を提供してくれているのです。 文書、スプレッドシート、プレゼンテーション、PDFの編集に、堅牢で柔軟なオープンソースのツールセットを求めるプロフェッショナルにとって、この最新アップデートは、ONLYOFFICEを再評価する強力な理由となるでしょう。 Source: ONLYOFFICE Docs Original Article: ONLYOFFICE Docs 9.0 Brings AI Smarts, Markdown Support, and a Sleek Redesign by MakeUseOf
風見隆(ガリレオ)