米国株に垂れ込める「不確実性」、世界的リスクで投資家の高揚感薄れ
- 米経済成長鈍化や貿易政策リスク、地政学的緊張が高揚感打ち消す
- 投資家を不安にさせる「不確実性の霧」広がる-シーバートCIO
米株式市場はこのところ、懸念すべきシグナルを発している。米経済成長の鈍化や貿易政策を巡る懸念、地政学的緊張などで、昨年の選挙後に高まった投資家の高揚感が薄れつつあるためだ。
ここ2年、S&P500種株価指数の過去2年の上昇を支えてきたハイテク大手の株価は今年に入って低調に推移しており、トレーダーの間にリスク回避の動きが広がっている。
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過去2週間に公表された経済データが軟調だったことから、米経済成長鈍化への懸念が拡大。トランプ米大統領の関税賦課に軸足を置く貿易政策を巡る不安感も強まっている。
さらにトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が激しい口論の末に決裂したことから、ウクライナでの戦争を巡る懸念が広がった。
シーバートのマーク・マレク最高投資責任者(CIO)は米国株を巡る状況について、「あらゆる投資家を不安にさせる不確実性の霧だ」とし、「トランプ政権は関税に関する発言を控えておらず、その発言はあいまいで漠然としている」と指摘した。
こうした中、S&P500種株価指数が2週連続で下落し、ここ5週のうち4週で下げたのは驚きではない。現在、トランプ氏が昨年の大統領選で勝利して以来の上昇分を帳消しする寸前となっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のマイケル・ハートネット氏率いるストラテジストは2月28日の顧客向けリポートで、S&P500種が大統領選投票日の水準を下回った場合、現在ロングポジションを取っている投資家は政策当局者の口先介入を強く期待することから、投票日の水準はトレーダーにとって重要だと述べた。
トレーダーは株価下落が続くのか、それとも落ち着くのかを見極めるために、投資家のセンチメントの指標である米個人投資家協会(AAII)の「ブル・ベア」スプレッドなどを注視している。2月26日終了週の同スプレッドは2022年以来最大のマイナス幅と、悲観的なセンチメントの高まりを示した。
The S&P 500 is lagging behind European, Chinese and Mexican stocks this year
Source: Bloomberg
原題:Stocks Face a ‘Fog of Uncertainty’ as Global Risks Keep Mounting(抜粋)