中国が通貨防衛強化、元相場管理の手綱緩めず-資本流出を警戒

Bloomberg News

  • 中心レート、元高方向で市場予想との開きが昨年4月以来の大きさ
  • トランプ政権の関税が景気を損ねれば、若干のスタンス変化も

中国が自国通貨の防衛を強化している。無秩序な資本流出が人民元建て資産のパニック売りにつながり、低迷が続く景気の回復を妨げることを当局は懸念している。

  中国人民銀行(中央銀行)は8日、人民元の中心レートを1ドル=7.1887元に設定。アナリスト予想より元高水準で、元高方向での予想との開きは昨年4月以来の大きさとなった。人民元の対ドルでの許容変動幅は、毎営業日発表される中心レートから上下それぞれ2%。

  トレーダーによると、中国の国有銀行は香港で人民元融資を縮小し続けており、投資家が人民元ショート(売り持ち)を構築するコストを上昇させている。

  こうした動きは、米中の国債利回り格差拡大や第2次トランプ政権の関税政策、国内経済の低迷といった圧力にもかかわらず、中国が引き続き人民元相場を強く管理していく考えであることを示唆している。  

  ただ、そうした戦略にはコストが伴い、人民元が許容変動幅の下限に近づくにつれ、取引の混乱や流動性の低下が起こる可能性がある。

  また、中国が相場下支えを続けていることで、人民元は貿易相手国・地域の通貨から成る通貨バスケットに対し約2年ぶりの高値水準を付けた。これは、中国の輸出企業に打撃を与え得る

  マラヤン・バンキング(メイバンク)のシニアストラテジスト、フィオナ・リム氏(シンガポール在勤)は、「明らかに現時点で中国当局は一方向での投機が雪だるま式に膨れ上がることを望んでいない」と指摘。

  その上で、トランプ政権による「関税の脅威が現実のものとなり、経済成長を損ねる恐れがある場合、人民銀が元相場管理の手綱をもう少し緩めるとしても驚かない」と語った。

原題:China Boosts FX Support as Yuan Heads Toward Policy Red Line (3) (抜粋)

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